浅野拓磨は「持ってる“だけ”」の選手なのか? 「また来季に向けて100%準備するしかない」
3シーズンを過ごしたボーフムを退団し、新しいチャレンジを決断した浅野拓磨。昨季はリーグ最終節でチームを残留に導く獅子奮迅の活躍を見せ、今季も最終節後の入れ替え戦での劇的な逆転勝利に貢献。「持ってる男」浅野の勝負強さの理由は一体なんだろう? また、彼自身「持ってる“だけ”」の選手と揶揄されることもある自身のプレーと日々どのように向き合い、来季のさらなる躍進を見据えているのか? (文=中野吉之伴、写真=アフロ)
ここぞの場面で期待以上の活躍を見せる「もっている」選手
「持ってる」選手には何が備わっているのだろう? ここぞという決定的な場面で期待通り、いや期待以上の活躍を見せる選手がいる。日本代表FW浅野拓磨にはそんな力を感じさせられることが度々ある。 2022年FIFAワールドカップ・カタール大会ではドイツ代表GKマヌエル・ノイアーの牙城を見事に崩し、2022-23シーズンのドイツ・ブンデスリーガ最終節では残留争いに苦しむボーフムを救う活躍を見せた。勝ち点3が求められる状況で強豪レバークーゼン相手に1ゴール1アシストと大爆発。試合後に殺到するファンの前で強靭な肉体を披露したシーンは今でも語り草だ。 今季も第22節のバイエルン戦で右足一閃の見事なゴールを決めたり、16位でリーグを終えたあと、2部3位デュッセルドルフとの入れ替え戦でもその存在感を発揮した。1stレグを0-3で落としたボーフムは、さすがにこの点差は2部降格が決定的かと思われたが、2ndレグで驚異的な追い上げで3-3の同点に追いつく。 浅野は後半13分から途中出場すると、何度も切れ味鋭い突破とシュートやクロスで試合の流れを変えることに大きく貢献。延長でも勝負がつかない緊張感あふれる展開ながら、PK戦でもまるで動じる様子を見せずに、4人目のキッカーとして登場するとしっかりとゴールを決めた。PK戦を制して劇的な逆転勝利で1部残留を果たすという離れ業を果たしたボーフムで、浅野は改めてその「持ってる」選手らしい活躍を見せてくれた。