浅野拓磨は「持ってる“だけ”」の選手なのか? 「また来季に向けて100%準備するしかない」
「100%で毎日やる意味っていうのは、もうそこにしかない」
では浅野自身は「持っている」選手であるとの評価をどのように受け止めているのだろう? 難しい戦いが予想される強豪相手や、後がない厳しい状況の中での試合で結果を残す、いい結果に導く活躍ができる背景にはどんな心構えがあるのだろう? 「僕自身今までのサッカー人生で分かっていることは、とにかくやり続けていたら何かが起こるということ。だから、諦める必要がないというか、やめる理由が一つもない。諦めずにやっていたら、もしかしたら次の大事な試合で点が取れるかもしれない。一日一日の練習で手を抜いてしまうと、そのチャンスさえなくなる。とにかく100%でやり続ける。たとえ結果が出なかったり、スタート(スタメン)から落ちたり、試合に出られなかったりしたとしても。100%で毎日やる意味っていうのは、もうそこにしかない」 結果を残せと人は言うが、結果を残すためのチャンスがないと結果も出せない。そのチャンスはいつ来るかわからないものなのかもしれない。努力をしてもめぐり合えないことだってあるかもしれない。でも浅野は「チャンスって自分でつかめるもの」と力説する。 「やり続けていたら、また活躍できる試合がきたり、それこそバイエルン相手に点が取れたりとかそういう未来がいつか待ってると知っている。早ければ次の試合、遅かったらもしかしたら半年後かもしれないですけど。その次の自分が活躍して喜んでる日まで同じことをやって、それが終わったら終わったで、次のそういうときがくるための準備というか、常に次の試合にそれがくるように準備をしていくだけかなと」
「一喜一憂しない。常にやり続ける」
うまくいかない中でそちらに気持ちを引っ張られないように、やるべきことに100%集中するというのは頭では理解できる話だ。そうするべきだと口にする人だって多い。それでも実際にそれができる人は少ない。どこかで何かに気持ちが引っ張られてしまう人は多い。人によっては平常心にするためのルーティーンやメンタルコントロールのコツを持っていたりもする。そのあたり浅野自身はどのように取り組んでいるのだろう? 「僕はあんまり一喜一憂しない。よかったらこう、悪かったらこう、みたいなのがないんですよ。もう常にやり続ける。(うまくいかなかったら)めっちゃ悔しいですし、今日(デュッセルドルフとの入れ替え戦2ndレグ)だってチームが残留したのはうれしいですけど、正直僕の個人的な話で言ったらうれしくないですし、悔しいです。ただ、準備するしかない。それだけなのかなと思います。切り替えるっていうことさえも、そもそもしてないかな。悔しいとかうれしいとかは関係なく、僕の中で次やることは決まっているので、それをやり続けている」 今季は浅野にとって簡単なシーズンではなかった。浮き沈みの大きなシーズンだったと本人も振り返る。前半戦は得点も順調に重ねていたし、地元紙からの評価も高かった。だが、後半戦は思うようにパフォーマンスを発揮できず、チームも勝ち星から遠ざかり続ける。 「前半戦は自分の思い通りにプレーできる試合が多かった中で、後半に入ったら、急に自分の感覚的に思い通りにプレーできなくなって、そこから盛り返すことができなかった。正直経験したことのないシーズンだったので、また自分の中で課題は見つかったかなと。なかなかコンディションが上がりきらない中で、ここまで迎えたなっていうのは正直感じています。毎年毎年違う経験を僕はしているんですけど、今年もまた新しい経験ができたなって」