浅野拓磨は「持ってる“だけ”」の選手なのか? 「また来季に向けて100%準備するしかない」
「持ってる“だけ”」の選手からの脱却
1月に日本代表として参戦したアジアカップでは出場機会があまり多くない中で、自身のコンディションを調整、維持、向上させることがなかなかできないでいた。通常であれば冬のウィンターブレイクにコンディションを上げることに時間を割くことができるが、その時間も余裕もない。リーグで試合出場を重ねながら徐々に調子が上がってくるかと期待されたが、思い通りにいかないもどかしさと向き合っていた。 2月下旬の第23節ボルシアMG戦後に「試合で感じるきつさであったり、きついって感じながらも走れるかどうかは、やっぱりコンスタントに試合に出ているのと感じ方が違う。いいときの感覚にはまだ戻りきっていない」と話していた浅野だが、シーズン終盤までコンディション調整で苦戦していたようだ。 「そうですね。僕の中でそこからなかなか上がらなかったとは感じますね。それが結果にも出ていると思いますし、自分の中でも感じている。いろいろな原因があると思いますけど……」 それでも苦しみながらもチームの一部残留という大きな目標を達成することができた。やり続けることで大事な時に決定的なプレーができる瞬間とめぐり合う。そして浅野が次に掲げる目標は「持ってる“だけ”」の選手からの脱却だ。 “だけ”というと表現が強すぎるかもしれないが、印象としてビックゲームや強敵相手にスーパープレーをたびたび見せる一方で、コンスタントさや堅実に決めるべきところを決めきれないという一面もある。浅野自身そうした現状に正面から向き合っている。 「そこは分かってる。大事な試合で決めるとかも僕の強みではありますけど、それだけじゃ次の成長につながらない。次のステップにはいけない。やっぱり結果を出し続ける。結果が出なかったとしても、チームの中でいいプレーをし続けられる選手になっていかないと。今シーズンもそれはすごく感じました。前半戦の活躍を1年通してできていたら、ボーフムが残留争いはしていなかったはずなので」 向き合うべきは自分自身。どれくらい本気で自分に矢印を向けて、自分の課題と向き合って、それを改善するためにどのくらいの熱量で取り組めるのか。「いいプレーをした」「いいゲームができた」で満足している場合じゃないという貪欲さ。そのためのヒントや気づきはアジアカップでの日本代表にもあった。 「アジアカップで日本代表として戦う難しさというのは改めて感じました。個人的にうまくいかないときとか、難しいなと感じるときに、とにかく自分自身に集中してやりたいなっていうのもチームに戻ってきて改めて感じました。日本代表として戦うという、いろいろな責任だったり、覚悟だったりがあると思いますけど、まずは自分のチームで自分がやるべきことを100%集中してやるだけかなと感じてます」