ビール類の税率統一で、発泡酒と第3のビールはなくなるの?
政府・与党が、「ビール」「発泡酒」「第3のビール」で分かれている税率を統一する方向で調整を進めている。ビール類の税率を統一する理由はどこにあるのか。税率が統一された場合、安さが魅力の「発泡酒」「第3のビール」はなくなってしまうのだろうか。
「ビール」は減税、「発泡酒・第3のビール」は増税に
日本でビール類にかかる税金は、酒税法で3種類に分かれている。いずれも350ml缶の代表的な小売価格(消費税抜き)で、「ビール」(麦芽比率が66.6%以上)は205円のうち、77円が酒税。「発泡酒」(麦芽比率が25%未満)は、152円のうち47円が酒税。「第3のビール」(麦芽なし)は、133円のうち、28円が税金だ。麦芽比率25%以上66.6%未満の発泡酒は、市場に出回っていない。 政府・与党は、この酒税格差を解消するため、「ビール」「発泡酒」「第3のビール」の酒税を350ml缶で「55円」に統一する方向で調整を進めているとされる。仮にこの方向でビール類の酒税が統一されると、350ml缶1本あたり「ビール」は22円の値下げ、「発泡酒」は8円の値上げ、「第3のビール」は27円の値上げになる。
増税は、税収増につながるのか
今回のビール類の税率統一の理由について、与党は2015年度与党税制改正大綱で、ビール類の「税率格差が、商品開発や販売数量に影響を与え、それがひいては、酒税の減収にもつながっている」と指摘している。これは、メーカーがビールの代わりに税率の低い「発泡酒」「第3のビール」を開発し、それが売れていることで税収が減っているため、発泡酒・第3のビールに増税する必要がある、という主張だと解釈できる。 しかし、ビール類の市場は1994年をピークに減り続けており、出荷量は「ビール」「発泡酒」「第3のビール」を合計しても2013年にはピーク時の74%まで縮小している。「ビール」を減税し、「発泡酒」「第3のビール」を増税することで、本当に税収増につながるのだろうか。