整理整頓や忘れ物は叱ってもムダ! ADHDの子どもの特性を理解して良い方向へ向かわせるには…?
散らかりにくくするペアレンティング
苦手なかたづけは、簡単にできるしくみを整えてあげましょう。「いっしょにやろうか」という声がけも大事です。 ■学校でのサポート 学校でも整理整頓の時間を意識的につくることで、紛失や集中力の低下を軽減することができる。 ・道具箱やロッカーの整理時間を設け、みんなで取り組む ・整理後の写真を貼るなど、視覚化してみせる ・配布物は、透明ファイルに入れるよう指示する
忘れ物・もの忘れが多い
ADHDの子どもが忘れっぽいのは、脳のワーキングメモリーの機能低下が原因。本人の努力ではどうにもなりません。忘れても困らないような対策を考えてみましょう。 忘れ物が多いのは不注意優位型のタイプ。たとえば、学校で手紙をもらって「お母さんに渡さなきゃ」と思っても、その情報を保持することができません。帰宅後にたずねられると「ない」と答えてしまいます。これは脳の特性で、本人の努力では変えられません。 ですから、忘れることを前提にして「忘れても困らない」対策を立てておきましょう。たとえば、「帰宅後は親がランドセルの中身をチェックする」「学校にも学習用具一式をそろえておく」「親がスマホのスケジューラーやリマインダー機能を利用して管理をする」などもよいでしょう。 ■もの忘れの特性を理解する ADHDの人のもの忘れは、本人の意志が弱いからではありません。特性を理解して上手にカバーする方法を考えましょう。 ・ワーキングメモリーが消去され、記憶に残っていない ・本人の心掛けに頼っても特性をカバーすることは難しい ↓ GOOD)ペアレンティング ・親が声をかける ・親が確認する ・学校と連携をとる NG) ・叱る(叱っても忘れ物は減らない) ・非難する ・言い聞かせる
忘れ物を減らすペアレンティング
ランドセルの中身を親がいっしょにチェックします。手紙や宿題、持ち物を確認しながら、宿題をはじめる時間なども相談して決めるとよいでしょう。 ■学校でのサポート 忘れ物を減らすためには、家庭でのチェックとともに、学校でのサポートも必要。事前の取り決めや相談が欠かせない。 ・大事なことは、個別に連絡する ・持ち物や宿題はわかりやすく板書するなどの工夫が必要 ・確認できたか、本人への声がけを忘れないようにする
榊原 洋一(お茶の水女子大学名誉教授)