なんだ、この本屋は!?/栃木の『bullock books』と参宮橋の『Vektor shop』
電車やバスじゃ辿り着けない、 山奥の森に現れる秘境的本屋。
一本道の山道を車で走り抜け、森の奥に突如として現れる緑溢れる平原に佇む素朴なログハウス。まるで『ウォールデン』のソローが暮らす世界だが、ここは栃木だ。店主の内田有香さんは大学で写真を学び『青山ブックセンター』に勤めたあと、実家の敷地で物置となっていたこの小屋を改装して店を開いた。写真やアートの棚を担当したこともあって、その手の本が充実。まさかこんな山奥で川内倫子さんや、五木田智央さんの作品集にじっくり目を通すことになるとは! 店の奥には、J・G・バラード好きだという内田さんらしくSF専門の棚や、イベントをしてもらったイラストレーターのマメイケダさんや浜松の村上製本が手掛ける本も。テラスでゆったり読書に耽れば、わざわざ来てよかったと思うはずだ。 Bookshops are Wonderlands!
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店先の庭で村上製本による製本教室を開催したことも。 ◯栃木県矢板市長井1840 ☎なし 10:00~17:00 不定休
15冊で一つのパッケージで、 アートを文脈とともに買う。
6月にオープンした、アートブックやレコードを扱うキオスク『Vektor shop』。中央でひときわ異彩を放つのが、ナイロンのベルトでガチッと固定された本の束。なんとこれで一つの売り物だ。「カルチャーとその文脈を知るには本が一番」というオーナー南貴之さんの言葉どおり、「バウハウス」をテーマに選書されたという15冊は背表紙を読むと確かに繋がりが見えてくる。直球のバウハウス本にデ・クーニングにときたら、お次は双方に関連するデ・ステイルといった具合。このパッケージスタイルは選書を担当する『twelvebooks』濱中敦史さんと、アートブックのオンライン古書店『ATELIER』の早水香織さんによるもの。じっくり眺めてアートの広い世界を想像してみない?
インフォメーション
◯東京都渋谷区代々木3-38-10 ☎なし 11:30~19:00 水休 photo: Kazufumi Shimoyashiki(bullock books), Naoto Date(Vektor shop), illustration: Tact Sato, text: Ryota Mukai(2023年11月 919号初出)
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