長渕剛、ニュー・アルバム『BLOOD』を引っ提げ全国アリーナツアー開催中「これからは笑顔で、君が笑顔になることをやりたい」
──そういう思いは、きっとコンサートの向き合い方にも影響してきますよね。ツアーについても話せる範囲で聞かせてください。 新旧、織り交ぜて「えっ?」って歌も歌いたいね。昔から振り返るってことがすごく嫌だったんですよ。でもスマホなんか見てると、嫌でも自分の昔の歌が出てくるんですね。いろんな方たちが自分の歌を歌ってくれてるんですけども、意外といい歌だなとか思えたりね(笑)。でも、昨日より今日を笑えるようにしたいんですよね。今は自分も含めて、みんなが幸せになること、ですね。そういう使い方をしたいということを強く思います。 ──活動への心持ちみたいなところは、ここ数年でかなり変わられたんですね。 変わりましたね。変わったとも言えるし、昔から実はあったんだけどそれを見せるわけにはいかなかった、みたいなところもあります。活動をしていくうえで戦いみたいなところもある。特に若いときは。戦ってるときに月並みな優しさを見せたものなら、すぐ足をすくわれるみたいな、そういう経験も何回もしてきました。この人ちょっと怖いぞというふうに思われたところはあるし、自分でもそういう立ち振る舞いは多かったんじゃないでしょうかね。 ──ご自身のパブリックイメージみたいなものに、苦しんだときもあったんでしょうか? あるともないとも言えないです。自分で好んで作ったイメージもあれば、そうじゃなくて作り上げられたものも当然ある。良いも悪いも含めて、ブランディングイメージなんて時代や社会の流れとともに、良かったことが悪かったことになったり、どんどん変わってく。変わったものに対して、自分自身が苦しむところはあるかもしれないが、皆さん、そうでしょうね。昨日のものを全部、捨ててしまおうかと、そこをどうやって戦ってクリアしていくか。当然クリエーションしてる人たちは、みんな思ってることだと思う。昨日までの自分を僕は破壊していくみたいな作業が好きです。 ──キャリアが長くなればスキルや強みも増えますけど、同時に難しさもあるわけですね。 ありますが、基本は体力。つまり肉体をしっかり整えることです。食とトレーニング‼! 自分が忘れてはいけないのは、それと自分は若かった頃の硬質な反骨精神だとか、スピード感であるとか、それからノリです。グルーブ感。「そんなことやるの?」とか「えっ?」って驚きを思いついたら、もう言ったその瞬間から動く。これが若さの持つ宝物なんですけど、それが現役の基本。毎日おもちゃ箱をひっくり返すような人生を生きていかねばつまらないですね。 ──ツアーも新鮮な気持ちで挑めそうですね。 これまでいろんな会場、路上ライブまでしていますけど、ひとつだけあるのは、僕は常に緊張します。どんな場所でも緊張します。大いなる素人‼!であることが大切です。 ──え? それはどんなライブでもですか。 慣れないですね(笑)。慣れないから、ここはうまくいくだろうかとか、いろんな雑念が、素人感が入ってくるんです。それを解消するために稽古をします。今、真っ最中ですね。厳しい稽古をします。幸せなことに、その思いを分かってくれている仲間たちがいるので、素晴らしいツアーになるんじゃないでしょうか。小心者なんでしょうね(笑)。 ──そんな……(笑)お話を聞くと、常に初心という感じですね。 そうです。ずっと初心です。最初から客が入ってたわけでもないし、自分の足を使って、全国を周りながら仲間を増やしていったようなところがあるんですね。せっかく仲間がこんなにたくさん集まってきてくれたんだけど、来年になったら、また来るかどうかなんてわからない。だから勝負です。毎日勝負です。 ──ただ良いパフォーマンスをするだけでなく、ひとつのショーとして、エンタテインメントとして見せたいという思いも強いんですね。 それは自負するところです。いつもリハーサルのときは一番後ろに行って、聴こえ方をチェックして、1階、2階、3階、隅々のお客さんまでが満足できるようなものを作ろうとしますね。そこは誰より妥協できないところ。そして大いに自信があるところですね。 いずれにせよ、大いなる節制と基礎トレーニングを継続しているところに現役を張る価値があるわけです。デブは敗北‼!なんです(笑) <ツアー情報> 『TSUYOSHI NAGABUCHI ARENA TOUR 2024 “BLOOD”』 9月5日(木) 愛知・Aichi Sky Expo ホールA 9月6日(金) 愛知・Aichi Sky Expo ホールA ※売切 9月28日(土) 広島・広島サンプラザホール ※売切 10月18日(金) 東京・有明アリーナ 10月19日(土) 東京・有明アリーナ ※売切