論理的に話せば伝わるわけではない…「説明がヘタな人」「うまい人」の決定的な違い
テレビの世界では、説明を嫌う文化があります。なぜなら、「説明が長く続くと、チャンネルを替えられる」からです。つまり、「説明は面白くない」「好きじゃない」と多くの人は思っているということです。では、なぜ説明はつまらないと思われるのでしょうか? それは、感情が動かないからです。人は感情の変化を求める生き物です。説明にも、感情が動く要素が含まれていなければ聞いてもらえません。それだけに、「いかに説明を楽しく、聞きたいものにするか」というテーマと向き合ってきたのが、テレビの伝え方なのです。アナウンサーとして20年以上テレビやラジオの世界で仕事をしてきた石田一洋さんの著書『あなたの話はきちんと伝わっていますか?』から、伝わる説明のコツをご紹介します。
■人は話の「2割」しか記憶できない 説明をするとき、「論理的な伝え方を磨けばしっかり伝わるだろう」と考える人がいます。間違いではありませんが、論理的な伝え方を磨く前に知っておいてほしいことがあります。 それは、人は話の「2割」しか記憶できないということです。これは、聞く気がある、聞く気がないという意味ではありません。話を聞く気持ちがあっても、その内容を次の瞬間には忘れてしまうのです。 私たちの脳は、生きていく上で不要だと判断した情報は次から次に消去されるようにできています。
そのため、どんなに重要なことであっても、聞き手の脳が必要と判断したこと以外は記憶できないのです。 諸説ありますが、脳科学の世界では、短期記憶(一時的に脳に記憶される情報)で覚えていられるのは、平均すると7項目程度とされています。時間にして30秒が限界ともいわれています。 例えば、携帯電話の番号を口頭で伝えられて、どのくらいの間記憶していられると思いますか? おそらく、10秒前後が限界ではないでしょうか。このように考えてみると、そもそも、脳の仕組みからして話したことの全てを覚えてもらうのは無理というわけです。