今年もマンション価格は上がり続けるのか、住宅ローン金利はどうなる?マイホーム購入の“決め手”を探る
首都圏のマンション価格が高騰し、好立地でマイホームを購入するのが難しい時代が続いているが、今年も住宅価格は上がり続けるのか。そして政策金利の引き上げ気配が強まる中で住宅ローン金利はどこまで上がるのか。住宅ジャーナリストの山下和之氏が、2025年の住宅市場を予測する。 【シミュレーション】住宅ローン金利が上がると毎月返済額がこんなに増える! ■ コストアップ要因に満ちている新築住宅 住宅価格を予測する場合、新築と中古に分けて考える必要がある。 新築住宅は、原則的に土地の取得費、建築費、分譲会社の経費・利益の合計を分譲戸数で割って価格が決定されるが、とりわけマンション適地の地価が著しく上昇し、建築費も高止まりしている。不動産会社の経営も人件費や諸経費のアップが価格押し上げ要因となっている。 2025年もその流れは続きそうなので、分譲会社としてはコストアップ分を価格に転嫁したいところだが、問題は消費者がついてきてくれるかどうかだ。 ついてくると判断すれば、価格を引き上げられるが、価格を上げると売れなくなると判断すれば、場合によっては値下げに踏み切らざるを得ないことになる。住宅価格はもう十分に高くなっているので、2025年は分譲会社にとってギリギリの判断が求められる年になるのではないだろうか。 その判断を左右する消費者の購買力は、エリアによって大きく異なっている。
民間調査機関の不動産経済研究所によると、2024年11月の首都圏新築マンションの平均価格は、7988万円だが、東京23区に限ると1億889万円と1億円を超えている。さらに都心部ともなれば1億円では買えず、2億円、3億円といった平均価格の高額マンションが多くなる(【図表1】参照)。 これでは、平均的な会社員ではとても手が届かないが、都心の高額物件の購入層は高額所得者、資産家、富裕層が中心であり、住居としてだけではなく、資産として購入する人たちが多い。値上がりが続けばむしろ資産価値の上昇が見込めるため、購入意欲が衰えることはない。 戸建て住宅も同様で、特に大手不動産会社を中心に、都心部での高額戸建て住宅の分譲に力を入れるようになっている。 こうした情勢を考慮すると、都心部では2025年も前年比1、2割かそれ以上の価格上昇が続くのではないだろうか。 ただ、郊外部ではそうはいかないだろう。比較的リーズナブルな価格帯の郊外マンションや戸建て住宅の購入層は平均的な収入の会社員であり、ギリギリの資金計画で取得を目指している人たちが中心だ。それだけに、価格の引き上げは売れ残りにつながる可能性も高い。 そのため、郊外部ではそろそろ価格上昇が頭打ちになるかもしれない。原価が大幅にアップしているだけに、分譲会社は販売価格を上げないと利益を確保できないのだが、企業努力によって経費を圧縮して、何とか価格を据え置いて販売しようとしており、2025年もその傾向は続くだろう。 ただ、企業努力による据え置きならいいのだが、マンションの専有面積や戸建て住宅の土地・建物面積を圧縮したり、仕様・設備のグレードダウンなどによって価格を据え置いたり、引き下げたりするケースが出てくるかもしれない。 2025年の郊外部での新築住宅の購入にあたっては、価格に目を向けるだけではなく、価格にふさわしい広さ、仕様・設備になっているかなども十分にチェックする必要がある。