今年もマンション価格は上がり続けるのか、住宅ローン金利はどうなる?マイホーム購入の“決め手”を探る
■ 住宅ローン金利の本格的な上昇が始まる! 2025年は価格動向とともに、住宅ローンの金利動向にも目を配っておく必要がある。 住宅ローンには、固定金利型と変動金利型があるが、2024年までは金利が低く、返済額を抑制できる変動型の利用が8割程度を占めてきたが、2025年には変動型の金利が上がり、返済負担額が重くなる可能性が高いのだ。 変動型の住宅ローン金利は、政策金利である短期金利に連動するが、それが引き上げられ、変動型の金利も上がる可能性が高い。 2025年1月現在、メガバンクの金利は0.3%台から0.6%台なので、0.5%としても、5000万円を35年元利均等・ボーナス返済なしで利用すると、【図表3】にあるように毎月の返済額は13万円弱で済む。しかし、1.0%になると14万円台に、1.5%で15万円台、2.0%で16万円台の半ばまで増えてしまう。 返済負担が重くなるということは、借入可能額が少なくなることも意味するので、二重の意味で住宅ローンの利用が難しくなりかねない。2025年のマイホーム取得に当たっては、住宅ローン金利の動向を注視しておかなければならない。
■ 補助金や税制など「住宅取得支援策」の動向は? 金利上昇の影響が懸念される中、明るい話題もある。2024年度の補正予算において、「子育てグリーン住宅支援事業」が創設され、1戸当たり160万円の補助金が出るようになったのだ。 対象となるのは、“GX志向型住宅”。GXとは「グリーントランスフォーメーション」の略で、温室効果ガスを発生させる化石燃料から太陽光発電、風力発電などのクリーンエネルギー中心へと転換し、経済社会システム全体を変革しようとする取り組みを指す。子育てグリーン住宅支援事業は、それを促進するための住宅取得支援制度ということだ。 具体的には、断熱等性能等級6以上など高い断熱性能が求められる住宅が対象で、その条件を満たす物件を取得する場合、1戸当たり160万円の補助金が出るようになる。 18歳未満の子どもがいる子育て世帯、夫婦どちらかの年齢が39歳以下の若者夫婦世帯であれば、GX志向型でなくても、長期優良住宅や断熱等性能等級5および一次エネルギー消費量等級6の基準を満たすZEH水準住宅を取得する場合、80万円から60万円の補助金が支給される(【図表4】参照)。 さらに、2024年入居までだった住宅ローン減税制度が2025年入居にも継続して適用される可能性が高くなっている。2025年度の税制改正が成立することが前提で、少数与党の政局不安もあるが、消費者にとってプラスになる制度なので、おそらく無事成立することになるだろう。 そうなれば、子育て世帯などが長期優良住宅等の認定住宅を取得する場合、ローン減税の対象は借入限度額5000万円、控除率0.7%、控除期間13年なので、「5000万円×0.007(0.7%)×13(年)」で、最大控除額は455万円となる。 子育て世帯以外は長期優良住宅であっても借入限度額の上限が4500万円なので、「4500万円×0.007(0.7%)×13(年)」で最大409万5000円だ。 エリアによっては住宅価格が上がり、変動型を中心に住宅ローン金利も上昇する可能性が高いとはいえ、2025年は住宅取得支援制度を上手に活用して、マイホームを取得するチャンスをうかがってみてはどうだろうか。
山下 和之