同僚が「会社の親睦会」の費用を、自分のクレジットカードで精算。貯まったポイントで「私的な買い物」をしてるらしいけど、これって法的に問題はないの?
買い物の支払いの際、付与されるポイントを買い物などに活用できることから、現金ではなくクレジットカードでできるだけ会計を済ませようとする人が増えているようです。個人的な買い物を、個人のクレジットカードで決済して獲得したポイントは、間違いなく個人のものです。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる? では、会社の親睦会のように、会社の経費について個人のクレジットカードで支払って取得したポイントは、誰のものになるのでしょうか。本記事では、会社の経費をクレジットカードで支払ったときに取得したポイントの扱いについて解説します。
就業規則によって異なる
結論から述べると、個人のクレジットカードにたまったポイントであっても、私的に利用するのはおすすめできません。 事業に関わる支払いを個人のクレジットカードで行って獲得したポイントの扱いは所属している会社の就業規則によりますが、本来会社に帰属するべきポイントを個人の判断で勝手に使用した場合、刑法第253条の業務上横領に問われる可能性もあります。 通常の横領罪は5年以下の懲役ですが、業務上横領罪は10年以下の懲役となります。窃盗罪なら50万円以下の罰金で済むケースもありますが、業務上横領罪は罰金刑がありません。 そのため、起訴され有罪判決が下ると執行猶予が付く場合もあるものの、懲役刑になってしまいます。マイレージもクレジットカードのポイントと同じく、会社の就業規則を確認してから利用するようにしましょう。
会社がポイント個人使用を禁止していなかったとしても……
個人のクレジットカードで経費を精算し、たまったポイントを個人のものにすることが禁じられていないとしても、実際にポイントを使ってしまうと問題が発生する可能性が考えられます。 就業規則で定められていなければ、ポイントを私的利用しても刑罰が下るとは考えられません。ただし個人のクレジットカードで精算したとしても、たまったポイントは基本的に会社に帰属するものと考えます。 1回の経費精算でたまるポイントは微々たるものかもしれませんが、積もり積もれば大きな額になるでしょう。現状、経費を個人のクレジットカードで立て替えて、たまったポイントを私的に使用することは課税対象として厳しく取り締まってはいません。 しかし、たまったポイントが膨大であれば「給与所得」として課税対象になり、立て替えた個人が税務対応に迫られる可能性がある点に注意が必要です。 個人が自分で確定申告をするとしても、会社側は社員の源泉徴収をするのが一般的です(給与支払者の義務)。経理、総務の担当者は本来の給与に加え、個人が使用したポイント分に相当する額や税額を計算し、処理する手間が生じると考えられます。
必ず会社のルールを確認しよう
会社の事業に関わる支払いを個人のクレジットカードで行って獲得したポイントの扱いは、会社によって異なります。もし就業規則を確認したうえで問題ないことが分かれば、特に指摘する必要もありません。 ただし、最初からポイント目当てで個人のクレジットカードを使用し続けると、周囲から信頼を失う可能性もあります。同僚の行動が目に余るようであれば、本人のためにも指摘したほうがよいかもしれません。 出典 e-Gov 法令検索 刑法 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部