香港パフォーミング・アーツ・エキスポ(HKPAX)開催。世界中のパフォーミング・アーツ関係者が集い、交差するプラットフォームに
香港芸術発展局(The Hong Kong Arts Development Council )が主催する「香港パフォーミング・アーツ・エキスポ(HKPAX)」
香港芸術発展局(The Hong Kong Arts Development Council )が主催する「香港パフォーミング・アーツ・エキスポ(HKPAX)」が10月14日から18日まで開催された。HKPAXは、香港、中国、そして世界各地の文化交流を促進し、とくに舞台芸術の機関やアーティストたちに新たなチャンスをもたらすことを目的として創設されたプラットフォームであり、イベントだ。 初開催の本年は、中国、中東、カナダ、オーストラリアなど60を超える地域から指導者やパフォーマーたちが集い、観客とHKPAX参加者の総数は3万1000人を上回る結果となった。オープニングでは中国の様々な伝統楽器によるライブパフォーマンスも行われた。 HKPAXは国際的な芸術団体と協力し、ローカルな才能にもスポットを当てたプログラム「1014 - Nanyin x Jazz」や「Time in a Bottle」を共同で開催した。 「1014 - Nanyin x Jazz」は、China Performing Arts Agencyとのコラボレーションによるもので、ジャズと中国語歌唱の古典的なスタイル・南音を融合させた、実験的な作品。1014年のある夫婦の物語から、愛や未来への希望と不安、普遍的なテーマについて考察する内容だ。南音のソリストであるユエン・シウ・ファイ(Yuen Siu-fai)の朗々としたとした歌声と、ジャズソリストのアシュレイ・(Ashley Lin)の堂々たる歌声の掛け合いが素晴らしく、レーザーや照明の効果を巧みに使った舞台芸術と相まって、独自の雰囲気で観客を魅了していた。 「Time in a Bottle」は、HKPAXが日本の石川県立音楽堂と共同制作し、香港の作曲家レオン・コー(Leon Ko)がキュレーション、作詞、作曲を手がけた音楽パフォーマンス兼展示だ。 展示は12のシーンに分かれており、創造神話から人類の勝利と闘争、歴史上の重要な瞬間を描いた完結型のジオラマとなっている。観客は、会場に展示された展示を歩いてみることができ、指定の時間になると各シーンに合わせてオーボエ、ピアノ、弦楽四重奏の生演奏が始まった。 その他、「HKPAXインターナショナル・ショーケース」と題して、国際的な作品が紹介され、ガブリエラ・ムニョスによる「Perhaps, Perhaps...」、デンマークのアッパーカット・ダンス・シアターによる「BENCHED」など15の演目が行われた。「BENCHED」はパフォーマーたちの躍動感、観客へコミットするチャーミングさを忘れない点、パフォーマンスの借景として見えている香港の街並みの晴れ晴れしさが見事だった。 筆者は3日ほど会場におりプログラムを見たり、周りの人にHKPAXをどう感じたりするか話したが、関係者や参加者の熱意を受け取り、前向きなディスカッションの場が生まれている様子も各所で散見された。アートで盛り上がりを見せ続ける香港で、またひとつ新しい文化的なフラッグシップができたということが言えるだろう。