こだわりポイントは”窓”! 自ら試算し窓を選んだ断熱等級6の120平米の家「温度・湿度が快適すぎ!」 千葉県流山市・Fさん家族【断熱新時代・住宅実例】
樹脂、ハイブリッド、トリプル、ガス入りなど、窓はタイプ別に断熱性能を試算
Fさんが依頼した工務店では、基本仕様として断熱パネル(屋根・壁・床ともに硬質ウレタンフォーム、100mm)、窓(樹脂またはハイブリッド)、玄関(寒冷地仕様)、換気は全熱交換器(※4)が決められていました。ただし、間取りや設備については自由度が高く、設備については大手メーカーのショールームも参考にと出向き、最終的に決断したといいます。 ※4:給排気の熱交換器によって、室内の排気する空気の「熱」を活かしたり、吸気する外気温を調整しながら空気の入れ替えをしたりする機械
「最も考えたのは窓ですね。YouTubeで専門家が発信している動画を見て勉強しました。およその間取りがでてきたところで、建物の表面積と窓の面積が算出できるので、自分で熱貫流率をいろいろと試算しました。サッシはハイブリッドにするか、樹脂とするか、ガラスは複層、さらにガス入りのトリプルにするか、リビングのメインのもっとも大きな窓だけ樹脂にするとか、パターンをいくつか設定して。で、すべての窓を樹脂サッシにしてトリプルガラスにするという試算もしたんです。当然、樹脂サッシ、トリプルガラスにした方が性能は良くなりますが、コストに対して思ったよりも性能の向上が見込めず、メリットを感じにくいな、と。結局、標準となっているハイブリッド窓でいくことにしました」とその理由を明かします。 自作で計算式を作り、熱貫流率を算出することについてはむずかしいことではないとFさんはいいますが、窓にこだわる理由をこう話します。 「窓は熱橋(※5)になってしまいますし、非常に重要な場所だな、と。それに開発職なので、計算とかは苦ではないんです。強度の試算、実験のために部材をいくつ用意するとか、数字を裏付けるためにどれだけ実験すればいいか、統計的にどうするといいとか。結果的にかなり早い段階で標準設定されている窓や玄関、断熱材が信用できるなと思いましたし、窓、玄関ドア、断熱材、空調換気のセットが、よくできているなと関心しました」とFさん。 ※5:建物のなかで熱が伝わりやすい、逃げやすい場所のこと。ヒートブリッジともいう また、建物の気密(C値)についても、工務店を探す際に実測値がどれくらいかをくまなく調べていました。徹底した研究肌というのか、自分でリサーチ、試算してみて、工務店の担当者と相談し決定するというのは、まるで開発のプロセスのよう。F邸では、C値を実際に測定し、0.15という脅威の数字(通常、1.0以下で高気密といわれます)を叩き出していますが、もちろん、Fさんもこの実測に立ち会ったそう。 ちなみに、工務店の担当者に聞くと、「以前は立ち会いたいと言われることはなかったですが、現在、気密測定をすると、3棟に1棟くらいは施主が立ち会います」とのこと。世間的に断熱や気密への関心が高まっていることがうかがえます。
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