JPドラゴンの上に”黒幕”がいる…「ほんとうの指示役」が決して捕まらない驚愕の方法
全容解明を阻む「匿名性」
だからこそ、JPドラゴンの逮捕が全容解明につながると期待されているが、事はそう単純にはいかない。 「実行役」を逮捕し、指示を受けたメッセージの痕跡を分析するだけでは組織のトップを割り出すことは難しいとされる。それはなぜなのか。彼らが高度な暗号化技術を用いて互いに連絡を取っていることに大きな理由がある。こうした犯行手口がトクリュウや闇バイトに見られる特徴の一つで、彼らが用いるのは「ダークウェブ」と呼ばれる、使用者の匿名性が高い通信領域だという。 事情を良く知るのは、アイルランド出身のオルネク氏(仮名)。過去に「ダークウェブ」史上最大規模の売買サイトと呼ばれた「シルクロード」を利用し、武器に関するITプログラムの販売で荒稼ぎしていたというオルネク氏と筆者は、ダークウェブ上で知り合った。 「ダークウェブとは、通常のインターネット検索ではアクセスできない通信領域のことだ。Tor(トーア)と呼ばれる閲覧用のソフトウェアを使い、特定のURLを入力することでのみ、ダークウェブ上のサイトにアクセスできる。 黒幕はダークウェブを使い、闇バイト犯罪を裏で操っている。その方法は様々だ。たとえば、URLが比較的有名なダークウェブ上のサイトで募集をかけ、応募してきた人物にやはりダークウェブ上のメッセージツールで犯行の指示マニュアルを提示する。 他にもXなどのSNSで集めた人たちをテレグラムという秘匿性の高い通信アプリへ誘導、さらにそこで選別した少数の人をダークウェブへと連れていき、犯罪の手法や指示マニュアルを伝えることもある。 それだけ、ダークウェブの匿名性は高い。ダークウェブ上のサイトには複雑な通信経路でアクセスするので、アクセスした人の情報やアクセスしたサイトの情報を隠すことができる。 指示役と実行役がやり取りを行うテレグラムなどのセキュリティ性の高いメッセージツールもアクセスの痕跡は残る。しかし、ダークウェブで犯行マニュアルを渡すだけの黒幕の正体を明らかにするのは難しい」(オルネク氏)