ノーベル平和賞 坪井直さんに“見てほしかった” 核廃絶へ…オバマ氏との握手「謝罪は一切いりません」
【広島テレビ・越磨萌香 ノーベル平和賞に思うこと】
日本被団協がノーベル平和賞を受賞──。嬉しいニュースが舞い込んできたとき、「この光景を坪井さんに見ていただきたかった」。そんな思いが募りました。 核兵器廃絶運動の先頭に立って活動してきた坪井直さんは、3年前に他界されました。2019年以降、体調が悪化した坪井さんは表舞台にほとんど出なくなり、私は、直接会うことが叶いませんでした。 しかし、アーカイブとして残っていた数々の映像からは、想像を絶するほどの辛い体験をしたにも関わらず、誰に対しても温かく、飾らない坪井さんの人柄やチャーミングな一面がひしひしと伝わってきました。 世界の現状に目を向けると、被爆者のこれまでの歩みに反して、核兵器の近代化が進み、争いは絶えず、世界が核の脅威に揺れています。坪井さんが人生をかけて訴え、後世に遺した「ネバーギブアップ」という言葉の重みはさらに増していると感じます。 放送後、坪井さんのご家族から手紙をいただきました。坪井さんは最期まで前向きで、「ワシはあきらめない。そしてあんたらもあきらめるな」と後に続く人たちにエールを送られていたそうです。この度のノーベル平和賞受賞により、坪井さんの“あきらめない”姿が今を生きるわたしたちの心に一層深く刻まれ、核なき世界の実現に向けて一歩前進するよう願っています。