センバツ高校野球 明秀ナイン「成長ぶり、目に焼き付けて」 トレーナーにささげる勝利 /茨城
◇引退する大川久弥さんに活躍誓う 第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)を最後に、明秀日立野球部を支えてきたトレーナーの大川久弥さん(31)が引退する。選手らの「最後に甲子園に連れて行きたい」という奮闘もあってたどり着いた舞台。大川さんもサポートに力を尽くす。【長屋美乃里】 大川さんが同部のトレーナーになったのは5年前。師匠でコンディショニングコーチの能勢康史さんから誘われたのがきっかけだ。 本業は柔道整復師。日立市内で整骨院に勤めながら、週1回のペースで野球部員の体の状態を確認してきた。 大会期間中は部員らとともに宿舎に泊まり込み、選手の口数から食欲までチェック。精神面にも気を配る大川さんに、選手からの信頼は厚い。 大川さんも元高校球児。神奈川県の私立高校で投手としてプレーしながら、肩の故障に苦しみ続けた。3年夏にようやくエースナンバーを付けたものの、大会直前に腰を疲労骨折。そのときケアをしてくれたのが、地元の整骨院だった。 「先生から『大丈夫だよ、投げられるよ』と言われたおかげで投げ抜けた」と振り返る。柔道整復師の道を選んだのも、トレーナーを引き受けたのも、この経験がきっかけ。常に心がけているのが「選手たちが『頑張れるんだ』と思える声かけ」だ。 春からは地元の神奈川県に整骨院を開く。当初は2月に退職し、秋の大会が最後になるはずだった。しかし、「センバツに出たらいっしょに行く」という言葉が選手たちの目の色を変えた。エースの猪俣駿太(3年)は「成長したところを最後に目に焼き付けてもらいたい」と意気込む。 「悔いが残らないようにやりきってほしい」と願う大川さん。甲子園に連れてきてくれた選手たちの雄姿を見届けるつもりだ。 明秀日立は大会第8日第2試合で、市和歌山(和歌山)とベスト8進出をかけて対戦する。