「ビジネスと顧客を理解するほど自分の仕事もうまくいく」 キャロリーナ ヘレラ のクリエイティブディレクター、ウェス・ゴードン氏
ファッションのビジネス面とクリエイティブ面の融合
「ビジネス面とクリエイティブ面というのは別のものではない。結局のところデザイナーは、女性が一目惚れして購入し、自分のものにして、一生着たいと思うようなものを作って売っているわけで、それは完全な商業行為だ。ビジネスと顧客について理解すればするほど、自分の仕事をうまくやることができる。デザイナーが耳を塞いで、その場にいる誰かがセールスやビジネスについて話していることを耳に入れないようにするというのは時代遅れだ。私にとってはその逆で、(他人の話を聞くことは)自分のしていることについて教えてくれるものだ。コレクションを成功させたいし、無駄は出したくない。私はうまく機能し、ビジネスを成長させ、女性が胸を躍らせて購入するような商品を作りたいのだ。だからデータを参照したり、店舗に直接足を運んだり、話を聞いたり、そのためにできることならなんでもして、それが自分を向上させてくれている」。
ブランド創業者とその歴史への敬意
「自分のスタイルを見つけるのに少し時間がかかった。これは今でも意識していることだ。なぜなら、キャロリーナが(私が手がけた)コレクションを初めて目にするのは、ほかの人々と同じときだから。コレクションには彼女の名が付いているのだから、彼女に満足してもらいたいし、彼女のレガシーが大切に扱われているのを知って安心してもらいたい。しかしただ単に彼女に敬意を表して、彼女がしたことを再現するのが私の仕事ではないということも学んだ。それは重要ではない。重要なのはこのブランドに最大の敬意を払い、ブランドと顧客を理解することだ。私の仕事というのは物事に自分の視点を取り入れることであり、それには時間を要する。最初は難しかったが、シーズンが経つにつれ、次第に自分自身の声を見つけていくことができた」。
ヘレラの顧客について
「特別な日のための服をデザインするのではなく、どんな瞬間でも特別な日に変えられるような服を作ろうとしている。当社の顧客について実に興味深いのは、いつも楽観的な点だ。また、外見や服装、食卓のセッティング、さらには仕事に至るまで、何に対しても努力を惜しまない。多くの人々が努力をしなくなってしまったこの世界で、ヘレラは努力する人々に寄り添っている」。