10月から勤務先が社会保険適用になります。現在年収100万円ほどのパートですが、扶養から外れるメリットとデメリットは何ですか?
政府はパートタイム勤務者などに対し、社会保険を段階的に適用する施策を進めています。2024年10月からは適用対象となる企業の規模が、従来の「従業員数101人以上」から、「従業員数51人以上」に拡大されました。その結果、多くの被扶養配偶者が社会保険の適用を受けるようになります。 今回は、扶養から外れて社会保険が適用されることの、メリットとデメリットについて詳しく解説します。 ▼扶養内で働いてるけど、労働時間が「週20時間」を越えてしまった!「社会保険」に加入する必要はある?
被扶養配偶者であったメリットとは
会社員などの厚生年金の被保険者に扶養されていた配偶者には、どのようなメリットがあったのか確認してみましょう(※1)。なぜならば、社会保険が適用されることのデメリットは、被扶養配偶者としてのメリットがなくなることだからです。 1. 国民年金の第3号被保険者となる 被扶養配偶者は自ら国民年金保険料を支払うことなく、「国民年金の第3号被保険者」として扱われます。具体的には、被扶養配偶者である期間が保険料支払い済み期間となり、将来受け取る老齢基礎年金額に反映されます。 2. 健康保険の給付を受けることができる 被扶養配偶者は「健康保険料を支払うことなく、医療費の3割を自己負担することにより治療を受けることができる」など、配偶者が加入している健康保険の給付を受けることができます。なお、被扶養配偶者が45歳以上の「介護保険第2号被保険者」に該当する場合でも、介護保険料を支払わないで済みます。 3. 配偶者も被扶養配偶者の保険料を支払う必要がない 被扶養配偶者を扶養している配偶者は、扶養する家族の分の年金や健康保険の保険料を払うことは求められておらず、報酬に応じて独身者と同じ保険料を支払うだけで済みます。
社会保険が適用されるメリット
被扶養配偶者であった人に社会保険が適用されるようになると、前述したとおり、今まで支払わないで済んでいた社会保険料を支払うことになるのですが、そのメリットについても考えてみましょう(※1)。 1. 厚生年金の被保険者となることができる わが国の年金制度は、国民年金と厚生年金の2階建てになっています。厚生年金の被保険者となることで、受け取ることのできる年金額が増えるばかりではなく、国民年金にはない保障を受けることができるようになります。 例えば、障害と認定された場合に支給される障害年金の場合、国民年金では「障害等級1級」と「2級」に限られますが、厚生年金にはより軽い程度の「障害等級3級」に障害年金が支給されるほか、より軽い障害にも「障害手当金」が支給されます(※2)。 2. 健康保険の被保険者となることができる 健康保険の被保険者となることで、被扶養配偶者には適用されなかった、病気休業中に支払われる「傷病手当金」(※3)や産前産後休業中に支払われる出産手当金(※4)が支給されるようになります。 3. 扶養基準を超えて働くことができる 従来であれば被扶養配偶者は年収を、扶養基準である130万円以内に抑えるように、勤務時間などを調整する必要がありました。しかし社会保険が適用されることで、これからは年収を気にすることなく働くことができるようになります。