ブラジル現地で活躍する日系企業の今 (25) 金属資源等を中心に躍進する双日ブラジル会社
「ブラジルで活躍する日系企業の今」を紹介する本連載の第25回目は、双日ブラジル会社の志田亨社長(55)に話を聞いた。双日は、パンデミックが落ち着き始めた2023年3月期連結決算(国際会計基準)で2期連続の純利益の最高益を更新しており、その中で双日ブラジル会社は設立以来、世界の双日グループの一端を担っている。スローガンである“New way, New Value”のもと、今新たに注力しているのはパートナー企業各社と推進するブラジル発の脱炭素社会に向けたプロジェクトだ。
日本とブラジルの基幹産業の懸け橋として
同社は日本の10大商社の一角を占めた旧ニチメンと旧日商岩井の流れを汲み、2004年に設立された。前者は1955年にサンパウロ、後者は1957~58年にかけてサンパウロとリオ・デ・ジャネイロに事務所を開設した。総合商社としてブラジル関連でも幅広く必要なモノ・サービスを必要なところに提供してきた中で、大きなウェイトを占めているのは金属資源、化学分野である。 同社は、1950年代にブラジルの基幹産業、その主要会社で黎明期のリオ・ドセ社(現ヴァーレ社)を日本の製鉄各社へ最初に紹介。1955年の最初の日本向けリオ・ドセ鉄鉱石出荷へ繋げ、日本のブラジル鉄鉱石輸入の拡大の過程で、半世紀以上にわたって日本の製鉄各社とリオ・ドセ社をつなぐ鉄鉱石輸入代行幹事商社ビジネスを展開、鉄鉱石貿易の拡大やそのために必要となった港を含むインフラ拡大にも日本の製鉄各社とリオ・ドセ社を繋ぎ、間接的に寄与してきた。 1978年より生産を開始して今も操業中のリオ・ドセ社と日本製鉄各社及び同社が共同で出資する鉄鉱石ペレットの合弁企業Nibrasco社や、1990年代のペトロブラス社との浮体式洋上石油生産設備の裸用船契約のように、常に時代のニーズに応じた対応を行うことにより、パートナーのブラジル企業から評価を得て来た。 近年ではサンタカタリーナ州とリオ・グランデ・ド・スル州でプレミアムブランド車の正規ディーラー事業も展開している。
【関連記事】
- ブラジル日本商工会議所協賛企画=現地で活躍する日系企業の今(24)=産業発展と脱炭素推進に貢献するTSE社 2024年3月16日
- ブラジル日本商工会議所協賛企画=現地で活躍する日系企業の今(23)=現地密着の南米旅情報で勝負するH.I.S.サンパウロ支店 2024年3月2日
- ブラジルで活躍する日系企業の今(22)=歯科医自ら営業して業績伸ばす松風デンタルブラジル社 2024年2月17日
- ブラジルで活躍する日系企業の今(21)=安全かつ美味で手軽な日本食提供のゼンショー・ド・ブラジル社 2024年2月3日
- ブラジル日本商工会議所協賛企画=現地で活躍する日系企業の今=(17)=世界一のデジタル認証技術で南米に貢献するNECラテンアメリカ社 2023年12月2日