【#佐藤優のシン世界地図探索82】沖縄から「日本が生き残る知恵」を学ぶには?
ウクライナ戦争勃発から世界の構図は激変し、真新しい『シン世界地図』が日々、作り変えられている。この連載ではその世界地図を、作家で元外務省主任分析官、同志社大学客員教授の佐藤優氏が、オシント(OSINT Open Source INTelligence:オープンソースインテリジェンス、公開されている情報)を駆使して探索していく! * * * ――かつて、日本は米国に次ぐ世界第2位のGDP(国内総生産)を誇る経済大国と言われていました。しかし気づけば中国に抜かれ、今度はドイツに抜かれ、近い将来にはインドにも抜かれて5位となります。早い話が日本は小国にどんどんと落ちて行く。 さらに周りには核兵器を大量に持つ中国とロシア、いつ核兵器を使うか分からない北朝鮮に囲まれ、大変な軍事環境にあります。 その中で、日本の唯一の同盟国は、太平洋を数千キロ挟んだ先にる米国のみ。これは、日本が将来、生き残れるための知恵、思考方法を早急に学ばないとヤバいんじゃないかと思っていました。 そこで佐藤さんの『琉球新報』の連載「佐藤優のウチナー評論」を読んで閃(ひらめ)きました。この日本が将来、生き残るための知恵と思考方法を、沖縄の在り方に学べないかと思ったのです! 佐藤 難しいでしょうね......。 ――難しいですか......。琉球・沖縄は、かつて大国である中国と交流し、うまく生き延びた。そして1609年以降は薩摩藩に支配され、1879年には大日本帝国が「沖縄県」を設置しました。しかし、その間に琉球は米国と「琉球・米国修好条約」(1854年)、フランスと「琉仏修好条約」(1855年)、オランダと「琉蘭修好条約」(1859年)を締結しています。 佐藤 はい。 ――これ、すでに諸外国から琉球王国は国際法の主体(国家)として認知されていたということですよね。 そして、これは元米軍の方から聞いたんですが、太平洋戦争では「沖縄はKeystone of the Pacific(太平洋の要石)なのだ」と認知され、大量の米軍がやってきて、ものすごい戦闘となった。 戦後、琉球は米国に統治された後、1972年に日本に返還されました。琉球は本当にすさまじい歴史を持っていますよ。要するに、沖縄はいつも大国に囲まれ、保険をかけて現在まで生き残っている、と。 佐藤 「今後もそうでしょ」って話ですよね。 ――そうです。そうしている時に、「日本はいまそのようにしているのですか?」と聞きたいです。 佐藤 あんまりしてないんじゃないですか? ――それはヤバいですよ。だって、いま沖縄と呼ばれる琉球は、大国に囲まれながら、長い間、大中小国たちとうまいことやって生き残っている。この知恵を日本は沖縄から学ばなければいけないのではないかと思います。