在日コリアン人権団体 れいわ・山本太郎代表の動画に要望書「無関心で配慮に欠けるもの」
特定非営利活動法人コリアNGOセンターは、1日までに公式サイトを通じ、れいわ新選組の外国人への差別的動画への対応を求める要望書を発表した。 【写真】在日コリアン人権団体が発表した要望書 同団体の発表は以下の通り。 コリアNGOセンターでは先の衆議院選挙でれいわ新選組の山本太郎代表が支持を呼び掛けた際に使用した動画が外国人に対する差別的な内容であると考え、れいわ新選組としての誠実な対応を求める要望書を10月31日付で送付しました。要望書の全文は以下の通りです。 要望書 私たちコリアNGOセンターは在日コリアンをはじめ、日本に暮らす外国人の人権擁護とヘイトスピーチなどの差別解消、多文化共生社会実現のために長年活動してきた在日コリアンの人権団体です。 このたびの衆議院選挙でのれいわ新選組の躍進にお祝い申し上げるとともに、与党過半数割れという不透明な政治状況のなかで、日本社会が誰にとっても暮らしに展望が見いだされる社会になっていくために、貴党のこれからの活躍に期待しております。 さて一方で、今回の衆議院選挙の過程で、山本太郎代表が、候補者への支持を呼びかけるために、外国人(外国語話者)の話し方をまねた動画を公開し、れいわ新選組候補者がSNSで拡散することで多くの人たちが目にすることになりました。当該動画はすでに削除されていますが、この出来事は公党の基本姿勢として極めて問題が大きいと考えています。 第一に、SNSで一般人の外国人(外国語話者)インフルエンサーがそのような語り口で人気を博しているとはいえ、マジョリティである日本人がそれをまねてコンテンツ化することは明らかに差別です。これまでも白人が黒人を模してキャラクターを演じる「ブラックフェイス」が問題になったり、大リーグで活躍する大谷翔平さんについてのコメントを求められた解説者がアジア系のアクセントを模した英語で発言したことで謝罪し、放送局は無期限出演停止処分をとっています。これはマジョリティがマイノリティを模した表現をすることは、社会的な不平等を容認し、マイノリティをマジョリティが嘲笑するものとしてとらえているためです。こうした点から今回の山本太郎代表の動画は明らかなマジョリティによるマイノリティへの差別であると考えます。 第二に、日本で暮らす外国人は在留期間、在留資格に関わらずすべて参政権が認められておらず、日本政治に参画する権利もありません。今回の選挙でも多くの外国人が日本社会の将来像に対する期待と不安を感じて見守っていました。にもかかわらず公党の代表が、日本政治から疎外されている外国人を模して投票を呼び掛けるというのは、日本で暮らしている外国人の現実や思いに対してあまりにも無関心で配慮に欠けるものであると言わざるをえません。すでに日本には多くの外国人が暮らしており、貴党も市民団体のアンケートでは外国人の人権擁護と共生社会が必要であると表明されています。そうした点からも今回の動画はれいわ新選組の基本姿勢に疑問を感じさせるものです。 すでに該当の動画は削除されていますが、今回の件は削除するだけではなく、あらためてれいわ新選組として、この山本太郎代表の動画についてどのように考えているのか、また外国人の人権擁護と共生社会の実現に向けた基本姿勢を明確に示すべきであると考えます。 コリアNGOセンターは活動拠点が大阪でもあり、大石あきこさんはじめ、れいわ新選組の今後の活動に期待しつつ、在日コリアン当事者の人権団体として、貴党がより発展を遂げるためにも、正すべきは正し、誠実な態度で見解を表明されることを要望します。