【#佐藤優のシン世界地図探索82】沖縄から「日本が生き残る知恵」を学ぶには?
佐藤 だから、いまの沖縄では米軍基地が過重負担になっているんです。1952年の「サンフランシスコ平和条約」の締結時点で、日本の米軍専用施設は90%が本土、10%が沖縄にありました。そして、本土に復帰した1972年には、沖縄にある米軍施設の割合は58%に。いまでは沖縄が70%、日本が30%です。それは簡単な話で、本土の米軍基地が減っているからです。 ――なるほど。 佐藤 いま普天間にいる米海兵隊は、1950年代に山梨と岐阜から移ってきました。 ――そうなんですか!! 佐藤 そうです。それまで沖縄に米軍はいませんでした。戦争に勝った後、米海兵隊は山梨と岐阜にいたんです。 ――沖縄に米海兵隊がいるのは、朝鮮半島有事のため、と自分は聞いてましたが......。 佐藤 それは、本土での反対運動が激しくなったためです。左翼のせいでもあります。要するに、日本国憲法が施行されていない沖縄に持って行こうということになったわけです。 ――それは、沖縄の米兵の女性暴行事件と同じで、キチンと説明せずに「なーなー」でやってしまおうとするのが、ずっと続いているということですね。 佐藤 そういうことです。沖縄で米兵の暴行事件が多いのも、兵士の数が一定いれば、一定の確率で起きますよ。沖縄は日本の陸地面積の0.4%。それしかしかない狭い地域に、米軍施設が70%あれば、米兵の人口比率はどれぐらいになると思いますか? ――わかりませんが、かなり高いと思います。そうしたら、確率的に犯罪発生率も高くなる。ということは、その解決方法は「米海兵隊は岐阜と山梨にお戻りください」というところからですね。 佐藤 国全体を平等に考えるならば、そういうことですよね。 ――岐阜と山梨にいる米海兵隊は、日本本土の内陸に駐屯して、ほとんど国際情勢には意味をなさない軍事力となってしまいます。 佐藤 ただし、沖縄の要求はそういうことではありません。要するに、「辺野古に新基地だけを作らないでくれ」ということです。 ――なるほど。 佐藤 だから、現在の状況に対する異議申し立てではなく、「プラスフルファの基地を作らないでくれ」という主張です。 ――極めて真っ当であります。 佐藤 しかも、辺野古は軟弱地盤という問題も抱えています。 ――でも、作る気満々で日々、建築作業をは続いています。