ロールス・ロイスが手掛ける最高級SUV「カリナン」シリーズⅡは魔法のじゅうたんのような乗り心地!
ロールス・ロイスが手がける世界でも最高級の部類に入るSUVが「カリナン」です。6.75リッターV12エンジンに、全輪駆動システムと後輪操舵機能の組合せ。2018年に発売されて、24年5月に「カリナン・シリーズⅡ」が登場しました。 【細部のデザインを画像をチェックする】 私がカリナン・シリーズⅡのテストドライブをしたのは、24年6月初旬のスペイン・イビサにて。ザ・ビートルズをはじめミュージシャンや俳優も愛した、ヒッピーの聖地として1960年代から人気の島です。 1905年に南アフリカで発掘された530.20カラットの世界最大級のダイヤモンドから名前をもらったカリナンは、ヒッピーとは関係なさそうですが、開放的な雰囲気にもよく合う、デザイン性の高さも特徴的なSUVです。 なにしろ、カリナンの登場で、ロールス・ロイスのオーナーの平均年齢が50代から40代に、ぐっと若返ったといいます。しかも「2018年時は、カリナンを自分で運転するひとは全オーナーの7割程度でしたが、昨今はほぼ10割の人が自分でハンドルを握って楽しんでいます」(プロダクトスペシャリストのケンザ・サーディ氏)というのです。 ゲームチェンジャーという言葉を、海外のブランドは好んで使います。カリナンは、あきらかにロールス・ロイスの常識を覆し、新しい方向性を見いだすことを成功したモデルなのですね。
■外装は“建築物や大型ヨット”のようなそそり立つ雰囲気
シリーズⅡになったカリナン。どこが新しいかというと、外観と内装の手直しが中心です。特にフロントマスクには大きな逆L字型ともいうべきシグネチャーライトが設けられて目をひきます。 「フロントマスクで意識したのは、威風堂々とした雰囲気を強化することでした」。ロールス・ロイスでヘッド・オブ・デザインを務めるオランダ人アンダース・ワーミング氏(英語読み)の言葉が紹介されています。 私がイビサの試乗会場で話を聞いたエクステリアデザイナーのヘンリー・クローク氏も、「建築物や大型ヨットのそそりたつ立派な雰囲気を盛り込むのが目的」と、大きめなパンテオングリルと、シグネチャーライト採用の背景を語っていました。 しかもシリーズⅡでは、バンパー下にエアインテークを目立たせ、スポーティな雰囲気を強調しています。同時に、今回は1インチ外径が大きくなった23インチのロードホイールが採用されていて、車輪の存在感がより目立つようになっています。 内装では、ダッシュボードに手が入っています。ひとつは、23年登場のピュアEV「ロールス・ロイス・スペクター」にならってデジタル機能が強化されました。もうひとつは、クラフツマンシップをより強く感じさせる仕上げ。 面白いのは「スピリット・オブ・エクスタシー・クロックキャビネット」と呼ばれるディスプレイがダッシュボードに設けられたこと。エンジンを起動すると、まず下からの照明が劇的に、本来はグリルマスコットのスピリット・オブ・エクスタシーを照らし出します。そこを見ていると、なんだか気分が盛り上がるのです。 それから、シート地も、今回あらたなデザインのファブリック系が用意されました。「デュアリティ・ツイル」、日本語だと二重綾織りとなる、凝ったもので、チャールズ・ロールスとヘンリー・ロイスという二人の創業者の姓の頭文字「R」をカギというかヨットのノットというか、きれいに組み合わせた、いわゆるモノグラムと、格子のパターンの組合せです。 これがけっこう派手。「カリナンのオーナーには、控えめでいるのを好む人と、目立つのが好きな人がいるので、今回のシリーズⅡでは両方に目配りするという、マーケットのトレンドに合わせたアップデートも重要な特徴です」と、前出のサーディ氏は言います。 もっとも、世のなかに同じカリナンは2台とないというぐらい、内外装のビスポーク(特注化)が特徴です。イビサにも、驚くほど多様な車両が並べられていました。 シートを例にとっても、いまはレザーか、上記デュアリティ・ツイルが中心です。そこにあって「将来的には、後席シートにベロアとかシルクを使う、戦前のモデルのような仕様も用意してみたいです」とクローク氏は言っていました。 同時に「ブラックバッジ・カリナン・シリーズⅡ」という、よりスポーティな雰囲気のモデルも設定されています。ブラックバッジは「ダークな美学、主張するキャラクター、大胆なデザイン」を好むユーザー向けに開発されたモデルなどと言われています。カリナンに加えて「ゴースト」に設定されたブラックバッジ。これもオーナーの若返りに貢献していると聞きました。