シンガポールで開催された「ディズニーのイベント」で、なんと「日本のアニメ」が登場したということが「意味するもの」
日本国内におけるディズニーと日本のアニメの関係性
冒頭でも触れた通り、恐らく多くの人は、ディズニー作品と日本のアニメは、大枠では同じアニメーションを扱いながらも、その盛り上がり方やファン層は微妙に異なる“別ジャンル”という印象があるのではないでしょうか。その従来のイメージをとても大まかに図式化すると、以下のように表せると思います。 つまり同じアニメーションでも、ディズニー作品は熱心なファンだけでなく、普段アニメをみないような層にまで広く親しまれているという点で、日本の、特にハイターゲット向けのアニメよりも、世間一般的な認識率や話題性が高いマスなジャンルとして位置付けられるのです。(昨今のジブリ作品もこの立ち位置に近いかもしれません) しかし近年、特に2020年以降の「鬼滅の刃」ブームやコロナ禍での動画配信サービスの普及・定着を経て、日本国内における図1の様相は以下のように変わってきました。 つまり、これまでアニメファン以外にはあまり知られていなかったハイターゲット向けのアニメ作品―「鬼滅」以降も「呪術廻戦」や「SPY×FAMILY」、「【推しの子】」や「葬送のフリーレン」等―が、アニメファンだけでなく広く世間一般にも親しまれるようになり、ともすると従来のディズニー作品並みの知名度や話題性を得るようになってきたのです。 さらにそうした昨今の社会的なアニメブームにおいて“バズ”を生じさせているのは、主に上記図2のピンクの層・日本のアニメファン層です。日本国内でアニメが社会的に盛り上がる一方で、大枠では同じアニメーションを扱うディズニー作品が、そうした昨今のアニメブームからはやや外側に位置付けられているのは、こうした両者の関係性にもよると思います。 そんな、これまでは部分的に重なりながらも別ジャンルとして位置付けられていたディズニーと、昨今の日本のアニメブームを牽引するアニメファン層を架橋する存在として、両者の関係性を変えている作品のひとつが、前述した「ツイステ」です。 「ツイステ」は、ディズニー作品のヴィランズにインスパイアされながらも、その世界観や設定、キャラクターや展開は日本アニメのファン層にも強く刺さる作品となっています。それでいて、ディズニーアーティストによる描きおろしイラストのグッズ展開やディズニー・ハロウィーンでの仮装対象作品への追加、ディズニーアンバサダーホテルでのコラボ等、上記図2の水色層で行われてきたディズニーならではの展開も同時に行われています。 それによって「ツイステ」は、従来の作品ではみられなかったような、ディズニー元来の普遍的な魅力という強みと、昨今のアニメファン層が持つ盛り上がりを生む熱量、両者を併せ持つ特異な作品となっているのです。