【大学野球】法大・篠木健太郎&中西祐樹 木更津総合高出身バッテリーが立大戦勝利に貢献
後輩に届いた先輩の生き様
話を戻す。立大3回戦。篠木は中1日での先発。法大は1敗1分とあとがなかった。 「崖っぷちからが、本当の勝負。ギリギリになるほど、楽しい。勝負に燃えるタイプ。燃えないと、男ではない」。篠木はアドレナリン全開。「試合前に高村さん(高村祐、助監督)に『今日はお前の日だから勝て』と言われたんです。勝つ気持ちだけで、投げました」。 大島公一監督はこの日、篠木の打順を通常の九番ではなく、七番に上げた。「2、3日前の打撃練習から良かった。今日は託すつもりでした。違う打順も考えたんですけど、ね……」。8回表には先述のとおり、逆転2点左中間三塁打。篠木は一塁を蹴ったあたりからトップスピードに入り、迷いなく三塁へ。最後はヘッドスライディングで、三塁ベースを何度もたたき、喜びを表現。すぐ近くで見ていた、三塁応援席の控え部員にもガッツポーズを見せた。 「(投手ですから、頭から行くのは)危ないとは思う。自分は経験を積ませてもらっていて、引っ張っていかないといけない立場。気持ちが入りました」 リードした8、9回はギアを上げ、140キロ台中盤のボールを連発して、力で押した。9回裏、最後はこん身のガッツポーズを見せた。 「自分が1年生のとき、4年生の(主将でエースの)銀二さん(DeNA・三浦銀二)、(高校の先輩でもある)山下さん(ヤクルト・山下輝)がマウンドを守る姿、抑える姿を見てきました。自分も後輩に何かを残したい。まだまだ先はありますが、一つ形になった」 大島監督は現実的にはないにしても、一番の起用も考えたという。それだけ篠木の持つ影響力に期待していた。逆転三塁打の場面を振り返り「(一塁、二塁から)生還してくる野手よりも(三塁へ向かう篠木のほうが)速かった。目が追いつかなった」と苦笑い。「全力疾走をしたほうが、投球内容が良くなっていく」と評価し「いろいろなことを、篠木から教わっています」と、背番号18を称えた。
2年生・中西にも先輩の生き様は届いていた。 「気迫、気持ちを引き継いでいきたい」 勝ち点をかけた4回戦を前に、篠木は言った。 「監督も言うように、勝ちにこだわっていく。また、中西とともに良い試合を作っていきたい」。もちろん、4回戦もブルペン待機するが、一方では、中3日で春の覇者・早大との第3週が控えていることも、見据えておかないといけない。法大としては2020年春以来のV奪還を目指す上で、エース以外の投手陣で総力戦をしのぐことが、以降の戦いにつながる。そこは、ベンチが掌握しておけばいい領域。まずは、立大4回戦の勝利に集中する。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール