「クロエ」に猛ダッシュで駆け込み、「リック・オウエンス」の荘厳さに圧倒される 2025年春夏パリコレ日記Vol.3
コラボコレクションは、日本では10月3日発売。メンズもウィメンズも流行り廃りなく長く着られそうなデザインが揃います。詳細やアイテムの全画像は下記の記事でチェックしてください!
「スキャパレリ」がプレタポルテでやるべきことを考える
村上:「スキャパレリ(SCHIAPARELLI)」のプレタポルテは初めて見ましたが、クチュールほどシュールレアリスムではなく、案外普通ですね。女性の胸を形どった前掛け(もはやプロテクターのよう)とか、股間にロブスター(‼︎)が鎮座したスカートなどに果敢に挑んでいるゲストとのギャップがスゴかったです(笑)。
特に今回は未来のビンテージを目指すというテーマのもと、コルセットを内蔵したタンクトップをデニムパンツをドッキングしたオールインワンや、同じような発想のシャツドレスなどシンプルだったのかもしれません。シャツの格子柄やゼブラモチーフを腰回りだけ斜めに切り返したり、体を撫でる生地にスパンコールを施して裸体を描いたミニドレスなどは「スキャパレリ」がやるべき意味があると思うけれど、あまりにベーシックなツインセットなどは必要なのかな?ちょっとハテナマークでした。
後でアクセサリーの写真を見ると、なるほどシュールなんですけれどね。ショーではなかなか気づかないのがもったいない!
LAカルチャーにどっぷり浸る「カサブランカ」
そして、本日最後は「カサブランカ(CASABLANCA)」ですね。場所は、「シャネル(CHANEL)」の本店があるカンボン通り。以前「パーム エンジェルス(PALM ANGELS)」もここでショーを開いたっけ。ストリートブランドが大人の階段を登ろうとする時に選ばれがちな会場な印象がありますが、実際、序盤はウィメンズのタイドアップやツイードのセットアップでした。もちろんオーバーサイズに仕上げたり、ミニドレス感覚で羽織ったりとスタイリングは若々しい。そこからはデニムやベースボールシャツ、マルチカラーヒッピースタイル、サーフとロサンゼルスカルチャーが続々と登場しました。さらにはメキシカンのムードまで加わって、カラベラ(祭壇に飾るカラフルな骸骨の装飾)を思わせるグラフィティをのせたスリップドレスや、極彩色レースシャツやかぎ針編みのニット、 パテントレザーのパンツが続きます。最近ラグジュアリー・ストリートな路線って見かける頻度が減っているから、逆に新鮮でした(笑)。クリエイティブ・ディレクターのシャラフ・タジェル(Charaf Tajer)は、人もカルチャーも入り混じっているロサンゼルスにインスピレーションを得たそうです。
ただ、いくらインパクト重視のストリートとは言え、 もう少しコンセプチュアル、 特にカルチャーなムードは欲しかったかな。安直な色柄って安易に模倣されてしまうので、ラグジュアリー・ストリートが生き残るには「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のように深淵な思想が必要だと思うんです。こうした思想は、特にバッグやシューズに現れるもの。多くのラグジュアリー・ストリートが過渡期を迎える中だからこそ、まだ勢いがある「カサブランカ」には頑張ってほしいな。