ゴスペラーズ、30年間“メンバー入れ替えなし”で活動し続ける秘訣を明かす 「周りからも、そろそろギネス記録? と言われるんだけど……」
なお、同アルバムでは、美空ひばりの「真赤な太陽」(Spotify38位)をカバーしているのも印象的。パワフルなアカペラに加え、かなり大胆なメロディーの改変もあって迫力満点な仕上がりに。明らかに、“ちょっと歌ってみた”というようなカバーとは段違いなのだ。 酒井「『真赤な太陽』は、われわれが学生時代に所属していたアカペラ・サークル"Street Corner Symphony”にて、うちのリーダーの村上がアレンジしたバージョンを歌っているんですよ。彼が若かりし頃のものですから、ソウル歌謡のようで、洋楽テイストもあるという、かなり思い切ったカバーで、アマチュアの良さも加わったガッツのある感じになっています。 その『真赤な太陽』が、アマチュア時代にライブの盛り上げ曲として重要な役割を果たし、その後、“誰のアレンジだか知らないけれど……”と、詠み人知らずのような形で、日本中のアカペラ・サークルに伝播していったんですよ!」 黒沢「あの頃、村上は口伝いでこの曲を教えていたので、譜面も作っていないんですよ(笑)。それを誰かが譜面に起こして、知らない街の知らない大学サークルで、このアレンジで歌っているという状況になっていたので、このタイミングで、“オリジナルは、われらゴスペラーズなんだ”ということを示すために録音しました。でも今、同じアレンジでやれと言われても頷かないでしょうね」 酒井「これだけオリジナルを大幅に変えていたら、CDに収録できるのかな……と不安だったのですが、その後、美空ひばりさんの公式トリビュートライブに呼んでいただいて、この『真赤な太陽』を披露する機会があり、喜んでもらえました」 さらに、同アルバムでは、第20位にランクインしているスターダスト☆レビューの「夢伝説」で本家と共演しているのも興味深い。 黒沢「スターダスト☆レビューさんは、バンドでありつつ、アカペラのアルバム『CHARMING』も出されていて、日本語アカペラの先駆者としてずっとリスペクトしつつ、サークル時代からカバーしていたんです。デビューしてから、スタレビさんのイベントにも呼んでいただける関係になったので、晴れてここで録音した次第です」 スターダスト☆レビューといえば、ライブのトークがとても長いことで有名だが、イベントではどうだったのだろう。 黒沢「トークの長さと言ったら、さだまさしさんか、スタレビさんかってくらいですよね。共演した際には、僕らを必ずいじってくれます。僕らも、デビュー間もない頃は、5人とも会場でウケるまで喋ろうと必死だったから、その頃は長かったかも。その後、一人ずつ爆笑なんて取れないということが分かって、最近ではウケなかったらサラっといくし、話の入口と出口をしっかり決めて話しています。そうしないと、お客さんが帰れなくなっちゃう(笑)。MCのバランス感覚というのも、30年間で身につきましたね」