キヤノンのフラッグシップ「EOS R1」、今月発売…プロ機材も席巻のミラーレス3強を解説
極限の環境に耐える高い堅牢(けんろう)性と信頼性というニコンの理念を引き継ぎ、18年に登場したミラーレスが「Z7」だ。1959年から一眼レフで採用していた伝統の「Fマウント(本体とレンズの接続部)」を採用せず、より大口径の「Zマウント」を新開発。光をより多く取り込めるので、より高性能のレンズを設計できる。「光学技術を磨いてきた会社として、カメラの高性能化に堪えられるレンズを求めた」と同社の粟飯原(あいはら)崇さん(44)。21年登場の最高機種「Z9」はアップデートされた最新ソフトウェアを公式サイトからダウンロードすることが可能で、いまだに進化を続けている。
業界最大手のキヤノンも18年に「EOS R」でミラーレスに本格参入。レンズの高性能化を図りながら「R5」(20年)、「R3」(21年)と立て続けに新型機を登場させた。待望のフラッグシップモデル「R1」は今月下旬発売。パリ五輪ではひと足早く一部カメラマンに貸し出され、高い評価を得た。
新しいAFシステムが「ディープラーニング(深層学習)」によりあらゆる場面で最適解をはじき出す。「アクション優先」ではサッカー、バレーボールなどで選手の姿勢やボールの位置を解析し、自動で主役にピントを合わせる。同社の中村剛志さん(45)は「苦手な被写体をなくし、あらゆる撮影ができる」と胸を張る。
性能は伯仲
端的に特長を言うと小型軽量のソニー、頑丈なニコン、万能のキヤノンとなるが、性能は伯仲している。あえて共通の弱点を挙げれば、電子制御の多用によるバッテリー消耗の速さか。終わりのない開発競争は続く。