“覚醒剤は氷砂糖だった可能性”排除できず『紀州のドン・ファン』元妻に無罪判決
他にも事件前に須藤被告が「完全犯罪」「覚醒剤 過剰摂取」などと検索していたことも、検察側は状況証拠の1つだとしていましたが、殺害を計画していたことを推認させる行動とは言えないとして、その主張を認めませんでした。 ではなぜ、野崎さんは致死量以上の覚醒剤を摂取し、亡くなったのか。判決では一つの可能性に言及しています。 野崎さんの知人 「『覚醒剤やってるで。へへへ』と言っていました」 証人として出廷した野崎さんの知人女性が、野崎さんから聞いたという言葉です。判決では、野崎さんが覚醒剤を常用していたとは考えられないとしながらも、この言葉を冗談とは言い切れず、覚醒剤の薬理効果に関心を抱き、自ら入手していた可能性も否定できないとしました。 福島恵子裁判長 「須藤被告以外による他殺の可能性や自殺の可能性はないといえるが、初めて覚醒剤を使用する野崎さんが誤って致死量以上の覚醒剤を一度に摂取した可能性も完全に否定することはできない」
判決言い渡し後、裁判員の1人が取材に応じました。 裁判員 「証人の数も多いですし、証拠の数も多いので、それをすべて吟味したうえで判決を出すのはすごく苦労した」 この裁判員は「直接証拠がなく、一部を切り取って有罪無罪を決めてはいけない」と考え、慎重に判断したとしています。 判決を受け、かつて野崎さんの会社で働いていた従業員は…。 元従業員 「驚いたというより、僕にきょうはずっと電話鳴りっぱなし。『おい無罪やー』て。まだ控訴もあるし、色んなことあると思うので、検察官がどう判断するか」 和歌山地検は判決を受け「今後について、判決文の内容を精査し、適切に対応したい」としています。
今回の地裁の判決を、専門家はどう見ているのでしょうか。元大阪地検検事の亀井正貴弁護士に聞きました。 亀井正貴弁護士 「須藤被告と密売人たち、3者の証言が信用できないことから、覚醒剤の取引自体が認定されなかった。つまり“凶器”がない=犯行が不可能と判断された。検察側としては、予想外で衝撃だったのではないか。直接証拠に乏しい事件の場合、相当信用性の高い証拠を積み上げる必要性を今回示した形になったのでは」
テレビ朝日