羽田空港で自動運転椅子の実証実験、自動運転は社会に受け入れられるか
THE PAGE
羽田空港国内線第1旅客ターミナルビルの飲食店において、入店を待って行列する客のストレス解消を目的とした「プロパイロットチェア」と呼ばれる自動運転椅子の実証実験が23日に行われました。今回は、この実証実験の背景や狙いなどから、先端技術が社会に受け入れられ機能していくための道筋を考えます。
自動運転技術を日常の身近なシーンに実装する
今回、1日限定で羽田空港に試験導入された「プロパイロットチェア」と呼ばれる自動運転椅子は、日産自動車が開発したもの。同社が乗用車向けに開発している同一車線自動運転技術「プロパイロット」に着想を得て、技術の啓蒙などを目的に開発したとしています。 椅子の下部にはセンサーとカメラ、加重センサーが搭載されており、前の椅子が進むと後ろの椅子が自動的に追随して動くように設計されているほか、最初の客が席を離れて荷重が抜けると、椅子は自動的に列の最後尾に移動するようプログラムされているとのこと。これによって入店を待つ客は何もしなくても自動的に列を移動していく仕組みです。
日産自動車の江田壮寿さんによると、この技術は昨年9月に発表。店頭での実証実験を希望する店舗を募集したところ多くの反響があり、応募の中から走行条件や設置環境などを考慮して羽田空港のターミナルビルを選定したとしています。 「羽田空港は、最新技術を導入して利用客の利便性向上を目指すロボティクスラボというプロジェクトを推進しており、その姿勢に共感した。空港は利用者も多く外国人観光客も多数訪れる。今回の技術によって行列するお客さんのストレス解消に繋がれば」(江田さん)。 日産がこの技術を開発した背景には、乗用車向け自動運転技術に対する興味喚起を促すという目的がある一方で、江田さんは今回の取り組みについて、まずは自動運転そのものの利便性を理解してもらうことが、技術を社会に浸透させていく上で重要だとしています。 「自動運転は世の中に知られているものの、その利便性まで伝わっていないのではないか。まずは様々な形で体験の機会を提供して、生活に密着した形で自動運転を体験し利便性を実感してもらうことで、社会からのフィードバックを得ていきたい」(江田さん)。 自動運転を人々の身近な場面に実装することを通じて、その反響から今後の可能性や課題を探ることが重要だと考えているのです。