「フィリピン・大型インフラ整備」で存在感増す日本…JICA融資総額、昨年度上回る見込み
「インフラ」&「物流」がフィリピンの成長を次のステージへ
S&Pグローバルはレポートの中で、インフラと物流の著しい改善がアジア新興国の次の成長段階を支えると指摘。またインフラの効率運用に加え、インフラへの投資を加速させることで、より高い成長率を実現できるとしています。インフラプロジェクトが加速すれば、アジア太平洋地域の経済は2023年の6.6兆ドルから2033年には約2倍の11.4兆ドルに達する可能性があると予測。これは年率約5.5%の成長率に相当します。 フィリピンでは国家経済開発庁(NEDA)が、マニラの新空港や、スービック、マニラ、バタンガス港を結ぶコリドールの建設など、主要なインフラプロジェクトを推進しています。インフラ建設はBBM(Build Better More)と呼ばれるマルコス政権の優先投資分野のひとつです。NEDAはこれまでに総額9.5兆ペソの185のインフラ旗艦プロジェクトを承認しています。これらのプロジェクトは、物理的・デジタル接続性、水資源、農業、保健、エネルギーなどをカバー。政府は、インフラに毎年GDPの5~6%を支出することを目標としています。 しかしインフラプロジェクトの投資回収期間は20年以上と長いため、民間セクターにとってリスクが高く、公共部門がインフラプロジェクトを主導する傾向にあります。一方で地域全体の経済規模に対する公共資産の比率は大きく上昇していません。フィリピンでは公共固定投資資産が比較的低いものの、公共民間パートナーシップ(PPP)による資本資産は世界平均を上回っています。 政府はPPPプロジェクトの推進にも力を入れており、マルコス大統領は昨年12月にPPPの枠組みを合理化するPPP法に署名しました。物流セクターについては2014年以降、最も大きな改善を示しています。 一方、電力需要の増加に伴い、電力セクターへの投資を増やす必要性があります。フィリピンでは2024年から2025年の電力需要が5~7%増加すると予測されています。フィリピン政府は、再生可能エネルギーの電源構成比を2030年までに35%、2040年までに50%に引き上げることを目指しています。