初の決勝で自分たちのスタイルを表現。神村学園は細部にこだわり、選手権で“あと1勝”“鹿児島サッカーの将来を変える“
[8.3 総体決勝 神村学園高 2-3 昌平高 Jヴィレッジスタジアム] 「立ち上げて22年なんですけど、やっぱスタイルを大事にしてきて、徐々に徐々にここまで上り詰めてきたんで。この決勝戦だけ勝つためのサッカーをするっていうことではなくて、やっぱり自分たちらしく最後を戦えたので、そこは子供たちも楽しんでサッカーできたんじゃないのかなっていう風には思います」 【写真】「いとこがSixTONESジェシー」驚きの告白をしたパリ五輪サッカー日本代表FW 神村学園高(鹿児島)は、初の決勝で自分たちの攻撃的なスタイルを表現。有村圭一郎監督は自分たちらしく戦えたことを評価し、「結果としては負けっていうのがつきましたけど、子供たちはこの大会の中で凄く成長して、次に戦えるような状況は作ってくれたので。結果負けでしたけど、次に繋がる負けだったと思います」と加えた。 細部にこだわる。神村学園は2度のリードを奪い、シュート数13-7と昌平高(埼玉)を大きく上回った。いずれも全国トップクラスのFW日高元(2年)、FW金城蓮央(3年)が怪我の影響を残す中、ボランチを主戦場とする10番MF福島和毅(2年)を3トップの一角として起用。序盤は技術力の非常に高い福島が収める力やパスセンスを発揮し、前半16分に徳村のアシストから先制ゴールを決めた。 だが、ゴールを決めた際に福島が右手首を負傷して交代。この後、昌平の勢いに呑まれる形で押し込まれ、前半終了間際に今大会初失点を喫した。後半に再び主導権を握ったが、相手GK佐々木智太郎(3年)のファインセーブに阻まれたほか、MF吉田唯竜(3年)のヘッドとFW徳村楓大(2年)の右足シュートがクロスバーをヒット。後半29分にMF松下永遠(3年)のゴールで勝ち越したものの、プラン通りに進めていた守備がわずかな綻びから連続失点し、白星を掴み取ることができなかった。 有村監督は試合後、選手たちに対して「勝っててもおかしくないゲームだったけど、細部が足りなかったよね」「ゲームも上手く進めてたけど、やっぱり際の最後の集中しなきゃいけないところでマーク離したり、今まで細部にこだわって来れなかったところがやっぱ決勝戦出たよね」「(準優勝で)『おめでとう』、ではないよね」と言葉を掛けたという。攻撃的なチーム同士の戦いで撃ち負けて敗戦。より細部までこだわる必要性を選手たちも痛感していた。 それでも、全国大会のトーナメント戦で初めて6試合を戦った経験は大。指揮官は「この成長した部分を冬に活かそう」と選手たちと共有。そして、「一回り強くなって、また選手権に戻りたいなという風に思います」と語った。 今大会9得点で得点王のFW名和田我空(3年)は、「全国で決勝の舞台で戦えたのは自分たちと昌平さんだけなので、それをどう活かすかは自分たち次第だと思いますし、これを絶対に無駄にしないという思いは強くあるので。これまで色々悔しい思いをしてきましたけど、目の前でやっぱり日本一っていうのをこぼすのは本当に悔しいなって思ったので、もうこの悔しさを忘れずにプレミア(リーグ)だったり、冬に持っていきたいなと思います」と誓った。 選手たちは、鹿児島県予選の最中に「(鹿児島の子どもたちや将来のために、)鹿児島にサッカー専用のスタジアムを」、という有村監督の強い思いを明かされ、「(一番上に立って)監督が喋る場を作ろう」「発信、働きかけできる場を作ろう」と日本一を本気で目指してきた。今回は紙一重の差で鹿児島県勢初優勝を逃したが、「(今大会を通して)積み上げれたと思うので、またこの先積み上げて、本気で最後は笑って終われるように」と名和田。選手権であと1勝を勝ち取り、自分たちの大目標を達成するとともに鹿児島サッカーの将来も変える。