早くもNBAファンから多くの期待を集めている河村勇輝（ロイター）

〝カワムラフィーバー〟が全米を席巻するか。米プロバスケットボールNBAグリズリーズが19日（日本時間20日）、キャンプに参加していた河村勇輝（23）とNBAの公式戦に出場できる「ツーウェー契約」を結んだと発表した。プレシーズンマッチでの大活躍で評価は急上昇しており、早期のNBAデビューへ期待大。スター性も抜群で、米大リーグ（MLB）ドジャースの大谷翔平投手（30）に匹敵する経済効果をもたらす可能性もありそうだ。 【写真】パリ五輪では「疑惑の判定」を下された河村勇輝 　河村は今夏にグリズリーズと無保証の「エキシビット10契約」を結び、キャンプに参加。プレシーズンマッチでは持ち前のパスセンスを存分に発揮し、連日のようにアシストを量産した。この猛アピールが認められ、NBAと下部Gリーグのハッスルを行き来しながらプレーできる「ツーウェー契約」を勝ち取った。 　同様のステップを経てNBAで6季プレーした渡辺雄太（千葉J）は、自身のインスタグラムでグリズリーズの投稿を引用しながら「Yessir！！！！」と河村を祝福した。 　チームの現状や評価の高さから、開幕戦となる23日（日本時間24日）のジャズ戦でさっそくNBAデビューを果たす可能性も。最高峰のコートに立てば、田臥勇太（宇都宮）、渡辺、八村塁（レイカーズ）に続く日本人4人目のNBAプレーヤーが誕生し、Bリーグ出身選手としては初の快挙となる。 　まだデビュー前だが、河村はすでに全米注目の存在となりつつある。同僚はもちろん、NBAのレジェンドで現在はマーベリクスを率いるジェイソン・キッド・ヘッドコーチ（HC）も河村を絶賛。さらに、大のレイカーズファンとして知られる世界的ロックバンド「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」のフリーが自身のX（旧ツイッター）に「今季はレイカーズ以外の選手ならば、ロンゾ（ボール＝ブルズ）とユウキ・カワムラだ」と投稿。カリスマベーシストが異例の〝推し宣言〟をするほどだ。 　バスケットボール関係者からは「低身長でこれまでNBAにいなかったタイプの選手。活躍すれば、スピードあふれるプレーがイチローさんのようなインパクトを与えるのではないか」と野球界のレジェンドに例えて特大の期待を寄せる。 　さらに、大手広告代理店関係者は「昨年のW杯、今年のパリ五輪と大活躍して、日本のバスケットボール人気を高めた主役。世界に挑戦するアスリートであり、スター性や好青年ぶりは企業イメージも抜群と言える。大手企業からCMオファーはどんどん来るだろうし、ドジャースに行った大谷選手のように、個人だけでなくチームとのスポンサー契約もかなりの数になるのでは」と指摘した。 　昨年11月に発表された笹川スポーツ財団による青少年を対象とした「好きなスポーツ選手」調査で、大谷やサッカーアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ、フィギュアスケートの羽生結弦などに続いて河村は10位にランクイン。その後パリ五輪での活躍などでさらに人気は高まっている。 　グリズリーズは、八村が所属するレイカーズなどの人気チームと比べて、スポンサー契約料の相場もリーズナブルで、すでに興味を示す企業が複数あるという。大谷が今季から所属するドジャースは1年で12社の日本企業とスポンサー契約したが、河村も今後の活躍次第でその契約件数に匹敵する可能性もある。日本屈指のスターがアメリカンドリームをつかめるか、期待は高まるばかりだ。