自分の人生を“選択”できる社会に「プレコンセプションケア」ってどんなもの?若いうちから正しい「性」や「妊娠」の知識を身につけて…
「プレコンセプションケア」独自に取り組む企業たち
一方、福利厚生として独自にプレコンセプションケアに取り組む企業も増えている。 PR会社大手「サニーサイドアップグループ」は、2022年、卵巣の中に残っている卵の数の目安を調べる「AMH検査補助」を導入した。検査費用を補助する制度で、導入後約4カ月で女性社員の15%が利用したという。その後、「男性も自分の身体と向き合うことのできる制度を導入して欲しい」という社員の声を元に、「精液検査補助」も導入した。 複利厚生サービスを提供する「ファミワン」は、2024年11月、大成建設の従業員とそのパートナーを対象に、看護師や臨床心理士による「プレコンセプションセミナー」をオンラインで開催した。セミナーの受講者には、ライフプランを検討する一つのきっかけとして、「AMH検査」と「精液検査」の自宅検査キットの配布も行った。また、LINEで健康相談ができるサービスも提供しているという。 結婚や出産は個人の自由な意志決定に基づくものであることは大前提だ。一方で、検討会では「いつでも妊娠できると思ったけど違った」「情報が溢れる中で、詳しく知ろうとすればするほど正しい情報を得るのに苦労した」といった声が聞かれ、自由な意志決定をするための情報が当事者に届いていない状況が明らかとなった。 若いうちから「プレコンセプションケア」が身近になれば、納得のいくライフプランを描きやすくなるように思う。正しい知識や情報を得たうえで、自分の人生を「選択」できる環境を整備することが大切だと改めて感じた。 こども家庭庁は、2025年春ごろまでに「プレコンセプションケア」について今後5年間に行う施策の方針をとりまとめる予定だ。 (フジテレビ社会部 松川沙紀)
松川沙紀