「迷わず蹴って来い、と言いたい」――W杯パラグアイ戦のPKから12年、駒野友一の答え
「相手がいくら強いといっても、ドイツにしても前回大会はグループリーグで敗退していますし、勝つチャンスはあります。南アフリカW杯のときも、大会前はなかなか調子が上がらず、ミーティングで闘莉王が『オレたちはヘタクソ。泥臭く戦うべき』と言った言葉が刺さり、自分たちの戦い方を再認識できましたから。(組分けだけを見て)期待していない人たちをギャフンと言わせてほしいですね」 そして南アフリカ大会でもそうだったように、初戦に勝利することが決勝トーナメント進出の近道だとする。 「やっぱり初戦が大事だし、ドイツが相手でも最低勝ち点1。第3戦のスペイン戦を考えると、第2戦のコスタリカ戦は確実に勝利したい」 南アフリカW杯を戦った松井、阿部、闘莉王らとともに1981年生まれの駒野は、99年のワールドユースで準優勝を果たした小野伸二や稲本潤一ら一つ前の「黄金世代」と常に比較され、「谷間の世代」と言われてきた。そのなかでも、決して目立つ存在ではなかったが、振り返れば日本代表78キャップは同世代では断トツのナンバーワンである。
届きそうで届かなかったW杯ベスト8の壁を破るには何が必要なのか。 「南アのときも、守ることはできていたので、あとはチャンスを確実に仕留める決定力。それと、前回のロシアW杯のベルギー戦ではロスタイムのカウンターでやられましたが、あのときピッチに立っていた何人が危ないと思って戻っていたのか。最後は攻め上がってきたベルギーとの人数の差が結果に表れただけに攻守において大事な局面での判断が重要になると思います」 カタールW杯でもグループリーグを突破すれば、PK戦になることも考えられる。もしそうなればキッカーにどんなアドバイスをかけるのだろうか。 「迷わず蹴って来い、と言いたい。結果はどうなっても、後悔するようなキックだけはしてほしくないですね」 今後指導者を目指す駒野にとってW杯でのPK失敗という痛みを知っていることは、1つのアドバンテージになるかもしれない。 --- 駒野友一(こまの・ゆういち) 1981年7月25日生まれ。和歌山県出身。サンフレッチェ広島ユースから2000年にトップチームへ昇格し、右サイドバックとして2年目からレギュラーに定着。その後は、ジュビロ磐田、FC東京、アビスパ福岡を経て、19年からFC今治へ。年代別の日本代表でも活躍し、01年ワールドユース(現U-20W杯)、04年アテネ五輪のほか、W杯にも06年ドイツ、10年南アフリカと2度出場。国際Aマッチ出場78試合1得点。