「対GDP比8.8パーセント」のアメリカ財政赤字に”ニヤリ”…止まらぬインフレの渦中で「ひそかに笑う国」
財政赤字とインフレ
永濱:その通りだと思います。これまでは、できるだけ民間の競争に任せて政府はできるだけ関与しないのが望ましいとされてきました。いわゆる新自由主義的な産業政策です。 ただ、経済安全保障や格差問題など、民間では解決できない課題に直面し、政府主導で対応する「大きな政府」的な政策、要するに積極財政的な政策が目立っています。 今回、アメリカが利上げしたにもかかわらず、景気が悪化しなかった理由として、エミンさんがおっしゃった超過貯蓄の影響もあったと思います。それに加えて積極財政的な経済政策で景気が底上げされていた面もありました。 その結果、アメリカの財政がかなり悪化しています。アメリカの2023年の財政赤字は対GDP比で約8.8パーセントとかなり大きいです。もちろん、財政赤字拡大はインフレを押し上げる方向に働きます。 インフレになると、通貨の価値が減少しますので、貯金も借金も目減りすることになります。このため、インフレが続けば政府債務の実質的な負担は軽減することになります。 世界の先進国の中には多かれ少なかれ債務に苦しんでいる国もありますので、ひそかにインフレを歓迎している国もあるかもしれません。 『日銀の施策が「エブリシング・バブル崩壊」の最後の砦…!世界的な“金融引き締め”の最中でもインフレが進むアメリカの“驚愕の真実”』へ続く
永濱 利廣、エミン・ユルマズ
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