井上尚弥は誰と?…異例の五輪代表vsプロの”レジェンド対決”が実現!「プロとアマのどちらが強いのか」
体重差があり井上尚弥との対戦は実現しないが、あまりに急の申し出にもかかわらず、快く協力を決めたのが、その井上尚弥をイベントに送り出す大橋ジム。初代日本スーパーライト級ユース王者で“未来の世界王者候補”としてトップランク社と契約、昨年は井上尚弥の前座でラスベガスで試合もしているIBF世界同級12位の平岡アンディ(24)が2大会連続五輪出場の成松の相手を務めることになった。 もちろん3人の五輪代表には、プロとの対戦を五輪のメダルにつなげたいとの思いも強い。 「五輪に向けて、この機会を生かせることは間違いない。プロとはよくスパーをして少しずつ強くなっているなとは感じてはいた」 成松は、昨年から右足を痛めていて「仕上がりに不安はある」とも言うが「治るのに時間がかかる場所なので痛みと付き合っていくしかない。痛みをカバーしつつボクシングをするという気持ちに切り替わっている」という。サウスポーの成松にとって、同じくサウスポーで変則のアンディとの対戦は貴重な経験になる。 セオンも「試合がないので仕上がりの確認ができなかったが、この試合でどれくらいできて今何が足りないかを確認できたら」と期待を寄せ、森脇も「五輪とかの大きい大会では雰囲気に呑まれる。規模が大きいイベントで五輪前に、その雰囲気を味わえるのはプラス」と五輪に向けてのシミュレーションになればと考えている。 当日は、井上尚弥を筆頭に3月に米国での防衛戦が決まっているWBA世界ライトフライ級スーパー王者の京口紘人(27、ワタナベ)、元WBO世界フライ級王者の木村翔(32、花形)、引退した元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者の”KOダイナマイト”内山高志氏(41)、元3階級制覇王者の”激闘王”八重樫東氏(37)らが参戦する。そのプロの新旧”レジェンド”の戦いからも何かを得たい。 注目のボクサーとして3人が揃って口に出したのは、“モンスター”井上尚弥の名前だ。 「井上尚弥選手はどこまで強くなっていくんだろう。内山高志さんは引退して4年でしっかりと動ける体を作ってくるのだろうか」(成松) 「井上尚弥選手くらい上手にできたら面白いだろうなと思う」(セオン) 「井上尚弥選手はすごいなと思う。軽量級の動きのできる重量級を目指しているので“でかい井上尚弥“になれたらいい」(森脇) その井上尚弥は、当日のメインでKOが自慢の元世界王者で、近い将来、バンタム級の正式リングで対戦する可能性のある現役の地域王者と対戦する。4階級制覇王者でWBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(31、Ambition)の参戦は実現できなかったがファン必見の”未来カード”だ。目の前で繰り広げられる緊張感漂うエキシビションマッチから3人の五輪代表が感じ取るものは大きいだろう。
東京五輪の開催を巡っては、まだ悲観論が根強くあるが、彼らは開催を信じて前向くだけ。プロ、あるいは、元プロの有名選手を相手に「アマの方が強いのでは?」とファンに印象づけるほどの存在感を示せばメダル獲得への自信につながるだろう。 男子強化委員長の本博国氏の説明によれば、五輪代表メンバーは、2月23日から3月5日まで会津若松で合宿を張り、3月12日からは五輪の試合を想定した合宿をナショナルトレセンで10日間行い、さらに五輪まで3度の合宿を予定している。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)