五輪金&世界王者の村田諒太が1年延期とコロナ禍で苦悩の東京五輪代表選手の人生相談に乗る…金メダル獲得方法指南
思い切って人生相談をしたのはウエルター級の岡澤セオン(24、鹿児島県体協)だ。男子代表チームのニックネームを「阿修羅ジャパン」と名付けるなどしたムードメーカー。 「アマチュアボクシングが好きで、この世界で戦っていきたいのですが、プロのような派手さもなく稼ぎもできないのが現状です。今後、どのようにやっていけばいいでしょうか」 村田は、「オリンピックに一度出るだけでは長期的に注目されないことがほとんどなので、東京五輪でまず結果を残して次のパリ五輪でも結果を残す必要があると思う。やはり、オリンピックにおいて金メダルをとることは重要。連覇することでメディア露出が多くなるので世間への印象が残ります。高い志が重要です」とのアドバイスを送った。 セオンは目を輝かしたという。 「金メダルを取った先にある景色の話を聞いて、より一層そこに辿り着いてその景色を見たいという気持ちが高まりました。村田選手に、自分の夢をお話しして”できるでしょ!”と言って頂けたことが1番深く印象に残っています。金メダリストの景色を一度見た方が言うことは、間違いないいと思うので、2連覇もしくは、その先を目指して夢の実現の為に頑張りたいと思えました」 村田のリアルで、人間味の溢れる話は、東京五輪の1年延期と新型コロナ渦で満足に練習ができず思い悩む代表選手の心の内側に届いたようだ。 実は、村田自身も苦悩の日々を送っている。帝拳ジムは、新型コロナの感染予防のため現在、ジムの出入りを禁じていて実戦練習に取りかかれない状況。当初、6月上旬に大阪で世界上位ランカーとのWBAタイトルの防衛戦が計画されていたが、その試合も延期になっている。世界中のボクシングマーケットが停止に追い込まれ、先行きは不透明のまま。また新型コロナから家族を守らねばならないという責任もある。それでも村田は、それらの不安をおくびにも出さず後輩たちへエールを送った。 「アマチュアの選手達、意識が高かったように思います。群雄割拠の中、日本代表を勝ち取ったということは、世界に通用するということ、自信を持ってください。オリンピックは人生を豊かにするチャンスをくれます。それぞれの目標に向かって、頑張ってください」 村田は、小学3年生の長男・晴道君のエピソードを例に出した。 「息子が、滑り台を逆走して上まで行こうとしていましたが、なかなか登りきれず、嫁さんが、『ゴールがもっと上だと思って、走り抜けてみなよ』と言ったら、簡単に登り切りました。こういった精神も大切かなと思います。皆様のご活躍を期待しております。お互い頑張りましょう」 “村田講座”に成功した日本ボクシング連盟は、オンライン講座を計4回予定しており、今日19日にナショナルコーチのウラジミール・シン氏(ウズベキスタン)、 26 日にフィジカルトレーナーの寺中靖幸氏、5月2日にスポーツドクターの相澤徹氏を招き、引き続きメダル獲得に向けての選手強化につなげたい考えだ。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)