「検察ナメんなよ!」見立てに合う『証言』強引に引き出す特捜部『取り調べ映像』入手 会社を奪われた元社長「人生が終わっちゃう。冤罪はダメ」
■無罪判決で強く非難された「検察の取り調べ」
まさにこの部分は無罪判決の中でこう指摘されている。 大阪地裁 坂口裕俊 裁判長(当時):必要以上に強く責任を感じさせ、その責任を逃れようと真実とは異なる内容の供述に及ぶ強い動機を生じさせかねない。 検察の取り調べは、厳しく非難された。
■「自白をとらないと評価されないというのが透けて見える。組織の構造的な問題」と弁護士
山岸さんの主任弁護士・中村和洋弁護士:彼がなぜあそこまで尋常ではない取り調べをしたのか。何かこう焦って自白をとらないといけない。それがそうしないと評価されないというものが全体的に透けて見える。あれは個人の資質の問題ではなく、やっぱり組織の構造的な問題だと考えるのが自然。
■「使った言葉に不穏当な言葉はあった」「(同じような取り調べは)まずしないと思う」と検事
11日、取り調べの映像が法廷で公開された後、実際に取り調べを行った田渕検事が法廷に呼ばれ、尋問を受けた。 代理人弁護士:K氏が真摯に向き合っていないから、そういう取り調べ(机をたたく、大声で怒鳴る)をしたんですか? 田渕大輔検事:言葉だけでは進まないと思い、挙動も混ぜたほうが誠実に向き合っていることが伝わると思ったので。 代理人弁護士:取り調べに反省すべきところはありましたか? 田渕大輔検事:使った言葉に不穏当な言葉はありました。 代理人弁護士:また同じような取り調べをしますか? 田渕大輔検事:まずしないと思う。 当時の取り調べに関して、「K氏が真摯に取り調べに向き合わなかったこと」を繰り返し理由にあげた一方で、一定の問題があったことを自ら認めた田渕検事。 また尋問を行った弁護士に対し、こんな発言も… 田渕大輔検事:そんな怖い顔で聞かれても… 代理人弁護士:怖い顔をしてないし、私とは距離もあるし、机もたたきませんよ。
■無罪判決について「残念な判決」と検事
この発言の後、法廷に立った山岸さんは田渕検事に「K氏はあなたの取り調べを怖いと感じていたと思うか?」と聞いた。 田渕大輔検事:K氏に聞かないと分からないが、私は少なくとも腹の座った方だと思っていました。 そして、一連の取り調べで得たK氏の供述は「信用できない」として山岸さんが無罪となったことについて田渕検事は「残念な判決。有罪維持に十分だと思っていた。K氏の信用性も否定されたので」と語った。 尋問は11日を含めて3日間に分けて行われ、当時捜査を主導していた主任検事も法廷に立つ予定だ。
■「無罪を勝ち取ったとしても、その時点で人生が終わっちゃう。だから冤罪はダメ」
原告の山岸さんは、プレサンスコーポレーションの社長も辞任せざるを得なくなったが、今はまた新しい不動産会社を立ち上げ、新しい人生を前向きに歩んでいる。 山岸さんは、この裁判にかける思いについて「私は元気で、毎日幸せに仕事もしている、趣味もやって生きている。でもそんな人って珍しい。無罪を勝ち取ったとしても、その時点で人生終わっちゃう。だから冤罪ってだめなんですよ。私みたいな立場の人しかこんな活動はできないんではないかと思っています」と語った。 2度と冤罪を生まないために、検察はどうこの問題に向き合うのか。 その姿勢が試されている。 (関西テレビ記者 赤穂雄大 2024年6月11日)
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