配偶者への不動産相続が“非課税”になる〈特例〉とは?…「相続税」の基本的な節税テクニック5選【相続の専門家が解説】
相続税は、現金だけでなく不動産や株式にもかかります。大切な人が残してくれた財産を有効に使うためにも、税金はなるべく安く抑えたいところです。相続税の節税対策について、相続コーディネイターである曽根 恵子氏の著書『2025年版[図解]身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本』(扶桑社)より、詳しくみていきましょう。 都道府県「遺産相続事件率」ランキング…10万世帯当たり事件件数<司法統計年報家事事件編(令和3年度)> 2023.02.07
相続税を安く抑えるためのテクニック
相続が発生すると、相続税を支払うことになります。現金のほか、家や建物などの不動産、貴金属や宝飾品などの動産も相続財産に含まれるので、現金がほとんどなくても相続税を支払わなければならないという事態も起こりえます。 支払う税金は少ないに越したことはありません。ここでは、相続税を少しでも安く抑えるための基本的なテクニックを紹介していきましょう。 相続税の節税対策としてスタンダードな方法が「生前贈与」です。とはいえ、贈与税という税金もあるので、ただ贈与するだけでは節税にはなりません。なので、贈与税をなるべく安くしながら贈与を行うことで、相続財産を減らしていきます。 そして、もう1つのスタンダードな節税対策が、財産評価額を下げる方法です。たとえば、土地や建物の利用のしかたにより評価額を下げて、相続税を安くしていきます。
長年連れ添った夫婦には贈与の「特例」がある
1年間に贈与した総額が110万円を超えると、贈与税がかかります。しかし、長年連れ添った夫婦の場合、不動産の贈与についての特例があります。 それが、居住用不動産の非課税贈与の特例です。婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、配偶者に居住用の不動産またはその購入資金を贈与した場合、2,000万円までは非課税となる特例です。購入資金だけでなく、不動産も対象となる点が大きな特徴です。年間110万円を超えれば贈与税がかかるのですから、この特例を知っているのと知らないのとでは大きな違いが生まれます。 通常の贈与は、相続開始前7年以内に行われたものは相続財産に加算されますが、この特例を利用した贈与はこの制度の対象外という点もメリットです。