中国人民解放軍で再び大粛清、最高幹部が相次ぎ失脚…習近平派閥の筆頭がなぜ?台湾武力統一の動きに深刻な影響も
■ 苗華は習近平のコネで出世、それがなぜ失脚? 華人チャイナウォッチャーの蔡慎坤らがSNSのX上ですでに情報を拡散。苗華が連行された様子の目撃者もいたようで、かなり信ぴょう性があるとされていた。この噂が流れたとき、董軍国防部長も危ない、という噂が流れた。なぜなら董軍を国防部長に強く推薦したのは苗華だったからだ。 董軍は元海軍司令で苗華の推薦で国防部長に抜擢された。だが、7月の三中全会(党中央委員会第三回全体会議)で中央軍事委員会入りできず、彼の出世に暗雲が立ち込めている、という憶測も流れた。 苗華は海軍上将で、もともと陸軍の福建集団軍(第31集団軍)出身、習近平政権時代に、海軍に転向した。2017年に中央軍事委員会政治工作部主任となった。昨年、国防部長、ロケット軍幹部が軒並み失脚したのちの新人事は苗華が仕切った。 この結果、解放軍内に苗華海軍閥が形成されていた。具体的には国防部長の董軍は元海軍司令、現ロケット軍司令の王厚彬は元海軍中将、現海軍司令の胡忠明は苗華の肝煎り人事だ。さらに東部戦区司令の林向陽は福建時代の苗華の部下、武装警察部隊司令の王春寧も苗華の腹心。 苗華は10月7日の新疆生産建設隊創立70周年記念大会に出席したあと、その動静は不明だった。チャイナウォッチャーの間では王春寧も取り調べを受けているという情報があり、董軍失脚のニュースが本当なら、苗華閥の大粛清が始まるのではないか、という見方もある。 だがここでやはり謎なのは、苗華がなぜ失脚したのか、だ。汚職や規律違反というのは建前の理由、本質は政治的理由のはずだ。苗華は習近平とは福建省時代からの親友であり、軍部の「習家軍」(習近平派閥)の筆頭であり、中でも最も忠誠心が高いという福建閥の中心だ。 そもそも苗華の出世は実力によるものではなく、習近平と親しいというコネだけに頼っており、軍内では当初馬鹿にされていた。習近平による大規模軍制改革に伴う大粛清によって苗華を馬鹿にしていた実力派軍幹部が排除され、苗華閥が形成されることになった。 ここで2つの見方を紹介しよう。