【わかるニュース】石破、トランプにどう対抗!? 得意の「防衛」から読み解く
石破の防衛理論とは?
石破総理の防衛に対する基本理念は「自衛官処遇改善」「日米地位協定の見直し」「アジア版NATO(米加と欧州EU各国などの軍事同盟)創設」の三本柱。 自衛隊の装備や自衛官待遇の充実と、党内右派の「対中国・韓国への強硬姿勢」とは似て非なる内容。総理は8日の関係閣僚会議で自衛官定員割れ(22年で24万7154人、充足率92%)と新規採用人数の低迷(募集に対し51%)を問題視。「放置してはいけない」と25年度予算で給与改善などの対策を指示。これらを補完する予備自衛官も約3万人と定員の7割しか確保できていない。総理は先の自衛隊創立70周年記念・観閲式で「自衛隊は今や国民の9割に好印象を持たれている。今後、万全の体制を構築する」と約束。防衛相だった時に艦船や基地の整備が予算不足で遅れ気味だったことを実感、てこ入れへの思いは人一倍強い。 次に総理の考える「日米地位協定」のあるべき姿だ。総裁選で「主権独立国家として、現在の非対称な関係を見直すべき」と述べている。過去、沖縄で米兵による犯罪が起こるたびに立ち入り捜査権や身柄拘束裁判権のあり方が問題になったが、総理は「自分たちの運命を自ら決められる国」という表現で米兵や軍属への特別待遇を改め、代わりに自衛隊のグアムなど海外での訓練実施を提案。米国側をざわつかせた。 最後に総理の言う「アジア版NATO」は最もハードルが高い。現在、日本が関わる同盟は日米安保以外に、軍事同盟「オーカス(日米英豪)」、戦略対話「クアッド(日米豪印)」があるが、敵対的対象と見なされた中国からは「時代遅れの冷戦構造」と批判されている。一歩進んだ「アジア版NATO」となると、日韓比ぐらいまでの参加は何とか読めてもASEAN(東南アジア10国の連合)は国によって中国との距離感が異なるうえに、台湾は国交自体がなく加入できない。これらは憲法上の整合性もあり、すぐには実現困難だが、総理と同じ防衛族の小野寺五典・党政調会長をトップとした研究機関の党内設置を指示。同政調会長は「議論を開始する」と述べている。