五輪エンブレム問題 佐野研二郎氏が会見「盗用は事実無根」
2020年の東京五輪・パラリンピックのエンブレムがベルギーの劇場のロゴと類似していると指摘されている問題で、エンブレム制作者の佐野研二郎氏が5日午前、都内で会見し、「そもそも作品を見ていないので模倣ではない。全くの事実無根」と盗用を否定した。
「同じ要素はあるが考え方が違う」
佐野氏は「誓って言うが、アートディレクターとしてこれまでの知識や経験を集大成して仕上げた作品。母国日本での五輪ということで、一人のデザイナーとしてチャンスを得たことを光栄に思った。ブラッシュアップを繰り返して世界に類のないエンブレムができたと確信した」と自負を見せた。 本人から見ても似ていると思うかとの問いには、「要素は同じものがあるが、デザインに対する考え方が違うもので全く似てない」との見方を示した。佐野氏は、ベルギーの劇場ロゴはテアトルの「T」とリエージュの「L」を基調にしてつくっているが、五輪エンブレムは、正方形を9分割してつくっていると説明。「(ベルギーの作品は)そもそも見ていないので模倣ではない」と盗用であるとの指摘を否定した。また、パラリンピックのエンブレムと「対」になるデザインでつくったことを挙げ、オリジナリティの部分で問題はないとした。 今回のエンブレムは、前回の東京五輪で亀倉雄策氏が手がけたエンブレムへの敬意を持って制作したと佐野氏は語る。亀倉氏の作品は、日の丸などを想起させる赤い丸を中心にしたシンプルで力強いデザイン。佐野氏のデザインの中にも、亀倉氏デザインで見られた「大きな丸」を内包している。 「エンブレムはシンプルでなければならない。アルファベットを基調とすると、どうしても類似するものが出てくる」と語る佐野氏。スペインのデザイン事務所の作品に色合いが似ているとの指摘に対しては、「全く似ていると思わなかった。そこを似ているとしたら、すべてのデザインが似ていることになってしまう。意外というか心外な気がした」と語った。 今回の騒動の率直な感想としては、「五輪エンブレムをつくるのが夢だった。驚いたとともにショック。正直つらいなと思った」と心情を吐露した。