世界が注目する期待の大型新人! ローカルガストロノミーを進化させる新進気鋭のフレンチ・シェフの展望に迫る
本田:これまでのキャリアを見ていて、若くして活躍している。「RED」でグランプリを取ったときも26歳のときだっけ。なんでそんなに早くそうなれたの?
糸井:もちろんタイミングとか、運とかたくさんあると思います。でも若いときは技術を身に付けたい、仕事ができるようになりたいとがむしゃらに頑張っていました。他の人の3倍はやるみたいに。自分が味付けを任された料理をお客様に届けたい一心でした。やっぱり「RED」でグランプリを取ったことが、糸井章太について世の中に問われ始めるきっかけになったと思います。そこから、自分はどんな料理人なのかを考えるようになりました。他のシェフたちが今までやってきたことをお手本にすることはあっても、真似をすることにはあまり興味ありません。これまで誰もやってこなかったこと、今まで表現できなかったことで、今の時代ならできることがたくさんあると思うんです。例えば、昔だったら、料理人が県知事や政治家と対等に話すって想像できなかったと思います。でも、今はそうなってきている。そこをちゃんと理解した上で、いろいろ料理を作っていきたいなと思っています。 本田:最初からバンバン任せてもらえたわけ? 糸井:どうやったら任せてもらえるかを考えていました。こうやりたいというだけでは、先輩たちから仕事を任せてもらえませんから。やるべきことをやった上で仕事をさせてもらえるように、態度や挨拶をきちんとして、人間関係を築かないと駄目だなと。それは今も常に意識しています。 本田:今って、労働時間がどんどん短くなってきているじゃない。8時間労働みたいに。当時はどうしていたの? 8時間労働だったら、そこまで一気にいけないんじゃないかなと思うけど。 糸井:無理ですね。もうそれは完全に。当時は、時間のことは考えずにやっていました。 本田:家でもやったりとか? 糸井:休みの日も職場に出て、仕込みをしていました。自分の仕込みを早く終わらせて、先輩の仕込みを教えてもらおうと。今はなかなか難しいですね。