堀江貴文も接種した、子宮頸がん予防のHPVワクチンが男性にも重要な理由
堀江 ほとんど接種していない「8年間」の人たちへのフォローもあるんですよね。 三輪 接種無料の期間を設けた「キャッチアップ接種」を’25年3月まで実施中です。HPVワクチンは間隔を空けながら3回接種するため、終了まで半年ほどかかります。今から始めると、2回目以降は無料期間を過ぎる可能性がありますが、利用してほしいです。 堀江 厚労省の推奨復活後は、接種率は上がっていますか? 三輪 20~30%程度でまだ低いです。乳がんの場合は芸能人や著名な方の公表で検診率が一気に上がるんですが、子宮頸がんの公表は今まであまりなくて。休井さんの勇気ある公表の反響は大きいと思います。 休井 公表後に友達が「私も」って話してくれて。やっぱり言いづらいんだと思います。病気やワクチンの詳しい説明がもっと欲しいです。私は説明を聞いて、気持ちが変わったので。 堀江 HPVは子宮頸がんの他に尖圭コンジローマ、中咽頭がん、男性の場合は陰茎がん、肛門がんの原因になるので、女性に限らず男性もワクチン接種するほうがいい。自分の感染予防のため、そして、女性に感染させないために。僕は9価ができた時に接種しました。男性にも無償接種はあるんですか? 三輪 東京都は一部の区を除いて補助制度ができていますね。 堀江 オーストラリアでは男性も定期接種が無料化されて、’40年代にはHPVを撲滅できそうだと聞きました。 三輪 集団の保菌率が下がれば感染しにくい状況になるので、男女一斉に接種すれば感染の防止効果は上がります。うちの産婦人科は男性も来院しやすいよう区分けをして、HPVワクチンの接種は男女ともに対応できるようにしています。 堀江 子宮頸がんは20~30代の若さで命を落とす可能性が高いため「マザーキラー」と呼ばれます。幼い子供を抱えたお母さんや働き盛りの女性が亡くなるのは、ショックも社会的損失も大きい。この病気をワクチンで相当数防げる、ということを多くの人に知ってほしいです。 三輪綾子 産婦人科医/THIRD CLINIC院長。予防医療普及協会理事。日本産科婦人科学会 産婦人科専門医、日本医師会認定産業医、母体保護法指定医。 休井美郷 「子宮頸がんの一歩手前」を宣告されたタレント。女性誌やバラエティ番組等で幅広く活躍中。6年ぶりに検診を受けた際、子宮頸がん一歩手前の「高度異形成」と診断され治療を経験。 堀江貴文/Takafumi Horie 1972年福岡県生まれ。実業家。ロケットエンジン開発や、会員制オンラインサロン運営など、さまざまな分野で活動する。予防医療普及協会理事。著書も多数。本連載をまとめた書籍『金を使うならカラダに使え。』が好評発売中。