日産が燃費・排ガス検査で不正(全文2)原因の徹底究明と再発防止で責任取る
検証の結果についての説明
では次に、弊社における検証の結果についてご説明いたします。1つ目は排出ガスの保安基準適合性および諸元値の検証でございます。検証の結果、R35(GT-R)を除き、その他全ての車種において保安基準への適合性に加え、型式としての排出ガスの平均値が諸元値を担保できていることを確認しました。R35(GT-R)につきましては生産台数が少ないため、現在生産車を全数測定し、N数を増加させて同様の検証を継続しております。 2つ目に、燃費の諸元値の検証でございます。検証の結果、全ての抜取検査対象車種が燃費の諸元値を担保できていることを確認いたしました。これら検証の目的ですが、排出ガスの諸元値の検証につきましては、排出ガス測定の検査の方式がまずございます。排出ガスの測定における保安基準は平均値規制を採用しております。平均値規制は、型式指定における全ての生産車両の排出ガスの平均値が平均値の規制値を満足することという考え方でございます。ただし、排出ガス測定は1台当たりの測定に多くの時間を要します。わが社の場合にはだいたい1台当たり2日間を要しております。そのため生産車両の全てについて排出ガスの測定を実施することは現実的ではございません。 この点を踏まえまして、自動車型式指定実施要領、第6の2は完成検査の一部につき、その方式を明確にした上で抜取検査方式によって実施して良いという旨を定めております。排出ガス測定を抜取検査で行う場合、各社には抜取検査の方式を一部車両の検査結果のみをもって、全ての生産車両の排出ガスの平均値が、平均規制値を満足することを品質管理手法を用いて実施することが求められております。 弊社における排出ガス検査の考え方でございますが、上記の、今ご説明いたしました排出ガス測定の検査方式を受けまして、社内規定において排出ガス測定を抜取検査方式で行う旨を定めております。同規定に基づきまして弊社は一部車両の検査結果のみをもって、全ての生産車両の検査値の平均値が諸元値を満足することを担保しております。弊社では保安基準が定める排出ガスの規制値よりも大きく低減した値を諸元値として型式指定を受けています。そのため、諸元値を担保できていることを確認することによって、保安基準適合性についても確認しております。 抜取検査はその性質上、統計的手法を用いて全生産車両が諸元値を担保していることを推定するものです。そのため推定の信頼度を確保するには、一定の抜取検査の対象車両数、以下N数と申し上げますが、N数を確保する必要がございます。検証の目的としましては、測定端末に残存していたログデータのうち信頼性の認められるデータのみを用いて諸元値を担保できているかを検証したものであります。 次に、燃費の諸元値の検証について説明いたします。本検証では先ほどご説明いたしました、排出ガス諸元値の検証と同様、測定端末に残存していたログデータのうち、信頼性の認められるデータのみを用いて、抜取検査対象車種が燃費の諸元値を担保できているかどうかを検証したものでございます。その検証の方法は、以下の手順を用いて排出ガスおよび燃費の諸元値を担保できているかを検証いたしました。まず1つ目は試験環境逸脱の状態下で測定した車両は、N数から除外するというものです。試験環境を逸脱した状態で計測した車両につきましては、その測定データの全てに信頼性が認められません。従って本検証におきましては当該車両をN数から除外いたしました。 次にワーストケースによる再計算でございます。測定用の端末に保存されていたログデータのうち、排出ガス、および燃費の検査値が最悪の値となる測定値を用いて、抜取検査対象方式、対象の型式、車種が、排出ガスの諸元値を担保できているか。あるいは燃費の諸元値を担保できているかを検証しました。繰り返しますと、試験条件を逸脱していたものについては、除外をいたしましたということと、先ほど申し上げました最小値、最大値が残っているものについては、その平均値が書き換えられていた可能性がありますので、最小または最高のどちらか。それは測定の項目にもよるんですけれども、最も条件的に不利なものにおいて再計算を行ったというものであります。こういったやり方で検証を行いました。 その結果、一番最初に申し上げましたとおり、排出ガスにつきまして保安基準にも適合しております。それから諸元値にも担保できているということを確認できました。ただしGT-Rに関しましてはN増しの作業を続けております。燃費につきましても、燃費の諸元値を全ての抜取検査対象の車種で諸元値を担保できているということを確認いたしました。 最後にまとめになりますけれども、上記のとおりに判明した事実につきましては、現在その原因や背景を含めて徹底した調査を継続して行っております。本件のさらなる原因究明を中心とした調査については、先ほど山内がご説明しましたように、西村あさひ法律事務所に依頼しております。今後、その結果を元に適正な再発の防止策、その見直しも進めた上で、あらためてご報告を申し上げたいと思います。