日産が燃費・排ガス検査で不正(全文2)原因の徹底究明と再発防止で責任取る
事案の発覚の経緯、判明した事実などについて
本田:日本生産事業本部を担当しております、常務執行役員の本田でございます。よろしくお願いいたします。一部、ただいま、CCOの山内がご説明した内容と重複するところがございますが、いま一度私のほうから説明をさせていただきたいと思います。本事案は、日産自動車栃木工場、追浜工場、日産車体湘南工場、九州工場およびオートワークス京都工場において発生いたしました、排気、燃費、抜取ガス、抜取検査データに関する事案でございます。 まず発覚の経緯でございますけど、弊社は、昨年の完成検査問題に対する再発防止策の一環といたしまして、本年4月に日本生産事業本部を立ち上げました。この部門は、法規、法令遵守に向けた取り組みや完成検査におけるIoT化の推進など、再発防止策の具体的な実行を職務とする部署を設置しております。発足以降、法規、法令遵守に関する仕組み、体制、プロセスの総点検を実施して参りました。これは本年2月から生産部門において実施してきた、法令遵守の点検をさらに本年3月26日付けの国土交通大臣からの指示に沿って、さらに強化、追加した「全業務の法令遵守状況の確認」としての取り組みでございます。このような取り組みを進める中、日本生産事業本部は発生した他社事例を基に、排気、抜取検査に関する調査を行ったところ、下記のこれからご説明申し上げます事実を把握するに至りました。 次に、判明した事実につきましてご説明いたします。排気抜取測定装置の測定端末内のハードディスク、その他の記録媒体に保存されていた、計2187台分のログデータを精査した結果、日産自動車九州以外の全車両製造工場において製造された車両について、現時点で以下の事象が判明いたしました。まず1つ目は、試験環境を逸脱したもの。排出ガス、燃費測定試験を行う際に道路運送車両の保安基準の細目を定める告示、以下告示と申し上げます。が、規定する試験環境の条件に従っていないにもかかわらず、有効な測定結果として取り扱ったものが計690台分確認されました。具体的には、JC08モードが定める速度および時間の条件に沿って走行した車両により測定しなければなりませんが、実際には告示が許容する逸脱時間を超えて走行した、これはトレースエラーと呼んでおります。にもかかわらず、有効な測定結果として取り扱ったものが、計628台分存在しました。 2つ目に、測定時の試験室内の温度、これは25度プラスマイナス5度、湿度につきましては30から75%の範囲内というふうに規定されていますが、実際には許容範囲を超えた温度や湿度の環境で測定したにもかかわらず、有効な測定結果として取り扱ったものが計62台分存在しました。 3つ目に、各測定前には測定機器の校正を実施した上で測定しなければならないところを、校正を実施しないまま測定されたものが計35台分存在しました。 次に、測定値を書き換えたものについてですが、測定値の書き換えを行っていたものが、計913台分確認されました。具体的には設備の操作画面上で、排気成分の測定値の一部書き換えを行っていたものが計808台分確認されました。排気成分と申し上げますのは、二酸化炭素、全炭化水素、ノックス、窒素酸化物ですね。それとメタン、それと一酸化炭素の各データでございます。 もう1つ、試験室内の乾球温度の測定値や湿度を算出するために使用する湿球温度の測定値も一部書き換えを行っていたものが計228台分確認されました。測定値を確定するに当たっては、測定ごとの平均値を使用します。この測定ごとの平均値と測定ごとの最大値および最小値がログデータ上に保存されておりました。この測定ごとの平均値が測定ごとの最大値、および最小値の外に存在している場合、出ている場合には書き換えがなされたものというふうに定義をいたしまして確認したところ、上記の1、2の事実が判明いたしました。すなわち平均値が最大値と最小値、これがシステムのデータの中に残っていたんですけれども、この外にあるものについては明らかに書き換えがされたものであるというふうに定義づけました。 次に対象の工場、対象の車種および対象期間については、皆さまのお手元にございます表のとおりでございます。ここは省略させていただきます。 このような事実が判明したことを受けまして、弊社では以下のようなデータ保存前の書き換えを防止するための対応策を、先ほど山内が申し上げましたように速やかに講じたところでございます。全車両工場において排気抜取検査をいったん停止いたしました。それから再開に当たっては、管理者または監督者を常時立ち会いの下で再開をし、同時にログデータ内のデータが正しいことも確認を行っております。またシステム上、書き換えができないようにシステムの変更を7月末までに行います。