「『坂口健太郎』に僕自身の心が追いついていなかった」俳優業10年を振り返り思うこと
10年で変わったこと、変わらないこと
――坂口さんは今年俳優10周年を迎えられましたが、今おっしゃったように様々な変化を経てここまで到達されたのでしょうね。 何かがきっかけで変わった、というより気づいたらこうなっていたという感覚ですが、改めて振り返ると大きく変わった部分と、そうでない部分があります。 例えば年齢も関係していて、一時期は胸キュン要素のある作品を多くやっていましたが、ある時からまた違った作品にお声がけいただけるようになりました。これらはきっと、周りの人の目が変わったこともあるかと思います。 ある時期、様々な人に「滅茶苦茶忙しいでしょ」と心配されることが続きましたが、本人は意外とまだまだ大丈夫だと思っていて、「そう見えるのか」と勉強になりました。 僕自身の感覚としては、そもそもやっていることがあまり変わっていないように感じています。現場に行って、お芝居して、スタッフの方々と喋って――。Netflixのように世界の人々が観てくれる環境がどんどん整ってきて、作品を観る垣根が低くなってきた有難さは日々感じていましたが、僕個人のやっていること自体の変化は感じていません。 ――ただ、坂口さんの立場や環境自体はやはり大きく変化したのではないでしょうか。 お芝居を始めて少しずつ「坂口健太郎」というものが大きくなっていったときに、僕自身の心が追い付いていないときがありました。本人じゃなくて、近い感覚を持っている人がどんどん育っているような気がして、無駄に自分にメッキを貼ってリュックに石を詰めて「本当の僕を見てくれ!」と主張していた時期もありましたが、それはそれで「こう見られたい自分」を作って、誇張してアピールしている状態であり、真の意味での「本当の自分」とはズレていたな、といまは感じます。 ただでさえ傾斜のある道を登るのに自分で重くしてしまって、かえって大変でした。いまは荷物を捨てる術を身に着けたため、軽やかでいられている気がします。 スタイリスト/壽村 太一(COZEN inc) ヘアメイク/廣瀬瑠美 Netflixシリーズ「さよならのつづき」は11月14日(木)よりNetflixにて独占配信
SYO(映画ライター)