〈CES2025〉ホンダ、新型EV「ゼロシリーズ」サルーンとSUVを発表 シリーズ最安価は3万ドル以下目指す
【米ラスベガス=中村俊甫】ホンダは7日(現地時間)、次世代電気自動車(EV)「ゼロシリーズ」の「サルーン」「SUV」(ともにプロトタイプ)を「CES2025」で公開した。2026年の発売を予定する。独自の車載OS(基本ソフト)「アシモOS」も発表し、自動運転「レベル3(条件付き自動運転)」機能などをソフト更新で高めていく。30年ごろの本格普及を見据え、EVで本格攻勢をかける。 ゼロシリーズの詳細写真を見る ゼロシリーズの第1弾として26年前半に中型SUVを北米市場に投入し、旗艦モデル「サルーン」も同年中の発売を見込む。同年中にエントリークラスのSUVも発売し、30年までにセダンタイプも含めた計7モデルを展開する計画だ。価格は最安価モデルで3万ドル(約470万円)以下を目指す。 独自開発した「アシモOS」により、ユーザーの嗜好に合わせてアプリケーションを追加できるほか、無線通信でソフトを更新し、運転支援の進化や人工知能(AI)を使った利便性向上を実現する。 E/E(電気/電子)アーキテクチャーは、1つの高性能ECU(電子制御ユニット)に機能を集約する「セントラル型」と、機能別に3つのECUに分ける「ドメイン集約型」を採用する。セントラルECUに搭載するシステム・オン・チップ(SoC)ではルネサスエレクトロニクスと開発契約を結び、20年代後半の搭載を目指す。処理能力は計2千TOPS(1秒間に2千兆回の演算が可能)を目指す。 充電関連サービスも充実させる。北米では、同社を含め自動車8社による充電事業会社「アイオナ」や、テスラの「NACS」規格への対応で、30年までに10万口(充電口ベース)の充電網を構築することを目指す。充電場所や周辺情報を提供するサービスや、EVを電力の需給調整に活用する取り組みも検討中だ。 足元では世界的にEV需要が鈍化するが、ホンダは米欧などでの環境規制も背景に、20年代後半にもEVが「拡大期」(三部敏宏社長)を迎えるとみている。米オハイオ州の工場には6千トン級の高圧ダイカストマシンを設置したほか、加オンタリオ州には車載電池工場を新設し、28年にも稼働させる予定だ。今回、発表した車載OSやAIによる「知能化」も進め、群雄割拠のEV市場で勝ち残りを目指す。