韓国野党、尹錫悦大統領に対する2回目の弾劾訴追案を提出
(ブルームバーグ): 韓国の最大野党・共に民主党は12日、尹錫悦大統領に対する2回目の弾劾訴追案を国会に提出した。与党「国民の力」から賛成に回る意向を示唆する議員が増えつつあり、今回は可決される可能性が高くなっている。採決は14日に行われる見込み。
尹大統領はこの日、国民向け談話を発表。先週の「非常戒厳」宣布は「自由民主主義の憲政秩序の崩壊を防ぎ、国家機能を正常化」するためだったと正当化した。
2回目の弾劾訴追案提出は広く予想されていたこともあり、韓国ウォンはドルに対して0.2%安と市場の反応は薄い。
7日に行われた1回目の弾劾訴追案の採決では、与党議員の大半が退席したため不成立となった。弾劾訴追案の可決には議員3分の2(200人)以上の賛成が必要。与党から少なくとも8人が賛成に回れば、同案は可決される。
尹大統領が退陣を拒み続ける場合、2回目採決で賛成票を投じる意向を示した与党議員の数は増えている。
大統領談話のテレビ放映に先立ち、国民の力の韓東勲代表は、弾劾訴追が大統領の職務を停止させる唯一の方法だと発言。談話後にはさらに、大統領の職務停止のため迅速に動くよう同党議員に呼び掛けた。韓代表自身は議員ではないため、投票権はない。
弾劾訴追案は提出後、議会に報告され、その時点から72時間以内に採決される。可決されれば、憲法裁判所が弾劾の妥当性を180日以内に判断し、妥当と判断された場合、大統領は罷免され、60日以内に大統領選が行われる。
尹大統領は弾劾の可能性に加えて、刑事捜査にも直面し、海外渡航が禁止されている。警察は12日、非常戒厳宣布を巡る関連証拠を押収しようと、2日連続で大統領府の捜索を試みた。金龍顕前国防相は逮捕されている。
国会は同日、非常戒厳に関与したとして法相と警察庁長官の弾劾訴追案を可決。両者の弾劾成立に必要な賛成票数は、大統領の場合と比べ少ない。野党はまた、非常戒厳宣布と大統領夫人を巡る疑惑を調査する特別検察官の設置も可決させた。